【更新】「1%の人が35%分もの利用」「安全じゃないから使わない」ツイッターの現状
2009/08/25 04:20
日本では【ツイッター、見たい相手は「趣味上の価値観を共有できる人」】で触れたように、浸透度が今一つの「ミニブログ」サービス【ツイッター(Twitter)】。しかし世界規模でみれば急速に広まりを見せつつある。今回は[Pear Analytics社が2009年8月12日に発表した調査結果(PDF)])を元に、その利用者の内情についていくつかの資料を再構築してみることにしよう。
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Pear Analytics社の調査結果によると、同じく調査会社のQuantcast.comが2009年6月に発表したデータとして、1か月に2700万人ものアメリカ人がツイッターを利用。そのうち55%は女性とのことである。
Twitterの男女構成比(2009年6月、アメリカ)
そして年齢構成比では、18-34歳が43%ともっとも多い。一方で未成年者の利用は8%に過ぎない。
Twitterの年齢構成比(2009年6月、アメリカ)
それこそ「インスタントメッセンジャー」のように利用が容易なツイッターだが、若年層の利用率が意外に少ない。これについて報告書では、「なぜ若者はツイッターを使わないのか(Why Teens Aren't Using Twitter)」というテッククランチの記事を引用し、その事情の一部を説明している。ざっと概要を説明すると、モルガンスタンレーにインターンとして勤めている15歳の少年の意見を例に、
・SNSのFacebookやMySpaceはアクセスできる人の取捨選択が可能だが、ツイッターではそれが出来ない。誰もが自分の書き込みを閲覧できてしまう。
・電話料金や通信料金を支払うことになる保護者も、無制限の書き込み(やその読み込み)に対価を支払うつもりはない。
・SNSには自分が存分に楽しめる専用のコミュニティがある(からSNSが好き)。
などの理由を挙げている。これらの原因がすべてではないが(統計はとられていない)、同じ原因でツイッターを使っていない若年者が多数いることは間違いないだろう。知り合いがいつも現れる公園がそばにあるのに、わざわざ不特定多数が行き来する駅前広場に足を運ぶ子供は(その場に魅力的なイベントや遊び道具がない限り)あまりいない。
また、先の記事【もしツイッターが100人の村だったら】にもあるように、ツイッターは他のSNSと比べると利用者の「偏り度」が激しいのも特徴。同じくQuantcast.com発のデータとして、Facebookとツイッターで利用者の来訪回数とそれぞれのサービスの延べ来訪者数を比較すると、次のような傾向が見られる。
Facebookの利用状況(それぞれの利用頻度と、その階層属性者の来訪数が全体に占める割合)
Twitterの利用状況(それぞれの利用頻度と、その階層属性者の来訪数が全体に占める割合)
少々読み方がややこしいのだが、例えばFacebookの場合「30回/月以上の常用者数は全体の12%。それらの常用者が全来訪者延べ人数の66%を占めている」、Twitterの場合は「30回/月以上の常用者数は全体の1%。それらの常用者が全来訪者延べ人数の35%を占めている」と読む。
この結果をどのように解釈すべきかは難しいところだが、
・Twitterでは常用使用者が(それこそ爆発的に)何度となく利用している。
などの傾向が見て取れるといえる。Twitterはまだまだ発展途上にあり、一部のマニアが全体の数字を押し上げている、というところだろうか。
先日「ツイッターは周りや一部のマニアが大騒ぎしているだけで実際のユーザーがついてこない。まるで『セカンドライフ』のようなもので、今後の動向もきっと同じようなものになる」という趣旨の発言を耳にした。から騒ぎ的な・過大に過ぎる期待がかけられている状況を見て、そのような香りをかぎ取ったのだろう。ある意味、その推測は間違っていない。オーバーな期待は時間の経過とともに失望を生み、そしてその媒体からの興味関心が損なわれることを意味する。
しかし『ツイッター』と『セカンドライフ』には大きな違いがある。一つは参加のためのハードルが非常に低いこと。そしてもう一つは、『セカンドライフ』が「船頭多くしてお客一人」状態だった(【「船頭一人にお客一人」・『セカンドライフ』の日本企業進出状況】)のに対し、『ツイッター』は「船頭一人にマニアな客山ほど、お客はぽつりぽつり」状態であることだ。いわば『セカンドライフ』が(日本国内では)「上」から流行らせようとした雰囲気が強かったが、『ツイッター』はそのような「香り」が現時点ではあまり見受けられない。『セカンドライフ』と比べ、『ツイッター』にはお金を生みだすような「仕組み」がほとんど無いから、いわゆる「上」の動きも鈍いのも当然といえば当然。
果たして世界で、そして日本で「ツイッター」は今後どのような立ち位置を確保していくことになるのか。注意深く見守りたいところだ。
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