あなたが投信買わない理由、分からない・元本保証で無い・実績不明
2009/08/23 09:21
楽天リサーチは2009年8月21日、投資信託(投信)に関するインターネット調査の結果を発表した。それによると投信を購入した経験が無い人は、その理由として「投資信託について良く分からない」を挙げている人がもっとも多いことが分かった。過半数の回答はこの項目だけであることを見ると、投資信託そのものへの啓蒙・公知がまだまだ不足しているものと思われる(『発表リリース』)。
スポンサードリンク
今調査は2009年7月24日から25日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1で、年齢階層比は20代・30代・40代・50代・60代で均等割り当て。
【郵便局でも販売を始めた投資信託とは?】でも解説しているが、投信とは「投資」を「信託」(第三者にお願いする)金融商品。考え方としては「株式投資」と「預貯金」の中間にあるが、主な金融商品と同様に原則として「元本は保証されない」(ただし極力元本保証に努める、債券を中心に組み合わせたものもある)。一方で、株式投資では難しい対象への投資や、個別銘柄の購入のような細かな知識はあまり必要が無い(ブラジルへの投資、メキシコへの投資、といった感覚での投信も用意されている)、種類によっては定期的な分配金の受け取りができるシステムなどのメリットもある。
今調査では調査時点で投信の購入経験が無い人は65.3%に達していたが、その理由について複数回答で尋ねたところ、もっとも多い回答は「投資信託についてよく分からない」で54.2%。購入経験無しの人の過半数は「投信ってなんだか分からないから手を出さない」と答えていることになる。
投資信託を購入しない理由(購入経験の無い人限定)
自分が良く分からない、理解できないものには手を出さないのが投資の原則であることを考えれば、この54.2%の人たちは極めて賢明であったといえる。同時に世間一般に対する投信の啓蒙不足が改めて認識される。さらに投信購入経験者の中にも、間違った認識(投信を「預貯金と同じで元本保証されているようなもので、しかも利回りが高い」金融商品と思っている)を持つものが少なくないため、販売関係者には「正しい」投資信託の姿を世間に広めるよう、さらなる努力が求められる。
第二位には「元本保証ではない」。預貯金などの元本保証型金融商品でない限り、このニーズを満たすことはできない。確実性の極めて高い貯蓄を望んでおり、この項目に該当する人たちは「投信」に興味を示さなくて当然だろう。
他の項目を見ると「手数料が高い」はともかく、「運用実績が分かりにくい」「種類が多く、どれを選んでよいのか分からない」「運用に関する情報が少ない」「購入手続きが面倒くさい」など、投信そのものの啓蒙と同じように、販売・運営サイドの問題と思われる点でつまづいて購入しない人が相当いることが分かる。顧客予備軍の人たちにもっと努力(単に売りつけるのではなく、欲しいと思われている情報を適切に提供)することが求められよう。
直前の記事「あなたが投信買った理由、利回り・少額・分配金」でも触れているが、一般の投資信託には色々問題があると感じている人の場合、上場投資信託(ETF)を選ぶという手もある。現物の株式の売買をしている人なら同じ感覚で取引ができるシロモノだ。利回りや分配金の点では通常の投資信託のような恩恵は期待できないが、「情報開示」「運用実績(過去の値動きの推移は株式同様に情報公開済み)」「少額」「現物株式では投資できない対象への投資」などのメリットは、ETFでも一般の投資信託同様に受けることができる。
現物の株式でバリバリ取引をしている人はともかく、上記グラフのような理由で投資信託を避けている人は、ETFあたりから手をつける、という考え方もありだろう。
スポンサードリンク