団塊世代は「当然」5割・「問題」3割……高齢層への金融資産集中問題
2009/08/19 06:45
ネットマイルは2009年8月18日、団塊世代の意識調査に関する結果を発表した。それによると、団塊世代を含む60歳以上の高齢者に個人金融資産の大部分が保有されている状況について、調査母体の団塊世代では過半数が肯定派で占められていることが分かった。否定派は3割程度、また男女間には考え方の違いも見受けられる([発表リリース、PDF])。
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今調査は2009年7月30日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は400人。56歳から65歳までを対象としており、男女比は1対1。年齢階層比は56-59歳が32.5%、60-62歳が35.0%、63-65歳が32.5%。
【年齢階層別の金融資産保有割合】や【高齢者の貯蓄現在高の世帯分布】にもあるように、年齢階層別人口比率や経年による資産の蓄積、世代間の資産の移動がスムースに行われていないなど多種多様の理由によるが、現在日本では個人の金融資産の多くが高齢者によって保有されているという状況下にある(今調査結果では「70%前後が60歳以上の人によって」という表記)。これが「内需の低迷」「資産の不平等化」「若年層の活力減退」などの要因である、とする説もある。
それらを踏まえた上で「そのような状況についてどう思うか」という問いかけを5択で尋ねたところ、全体では「当然」「仕方ない」を合わせた肯定派が55.5%と過半数に達していた。
現在、日本では、個人金融資産の70%前後が60歳以上の人によって保有されていますが、その状況をどう思われますか
一方「あまり良くないと思う」「悪い状況だと思う」9.0%をあわせた否定派は32.8%。判断がつきかねる「何とも言えない」は11.7%だった。個人ベースではどうしようもないが、まぁ「悪いことではないんではないかな」という思いだろうか。
男女別でみると、肯定派は男性が63.0%・女性は48.0%。否定派は男性30.5%・女性35.0%。男性は「自分で稼いでため込んできた」という自負が強いからか肯定派が多いが、女性は男性ほど肯定・否定の差が無く、「何とも言えない」の割合が多い状況を見ると、判断がつきかねているようにも思えてくる。
繰り返しになるが、高齢者のすべてがお金持ちで若年層のすべてが困窮しているわけではなく、年齢別人口階層や経年資産蓄積を考慮すれば、高齢層にある程度の資産が偏る現象は当然ともいえる。他方、核家族化の進行で「世代間の資産移譲」がスムーズに行かなくなり、それがいわゆる「高齢世代での金詰り」を助長しているという考え方もある。
いずれにせよ、今調査においては団塊世代は「金融資産の集中」について、さほど問題視はしていない(少なくとも多数派を占めている)と考えてよいのだろう。あるいは「自分自身のことで精いっぱい」なのかもしれない。
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