【更新】各国の年金制度の改革案をチェックしてみる

2009/08/17 07:53

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年金イメージ先に【日銀レポートによる「なぜ好景気でも賃金は上がらなかったのか」】で伝えた、日本銀行関係者による研究レポート【賃金はなぜ上がらなかったのか? - 2002-07年の景気拡大期における大企業人件費の抑制要因に関する一考察】では、その推論を導くために多種多様の役立つ図表が展開されていた。今回はその図表の元データを探るにあたってたまたま目にとまった、先進諸国の年金制度とその改革案の一覧を掲載してみることにする。元データは2009年7月に内閣府から出された【年次経済財政報告】【付図・付表(PDF)】



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まず表を掲載する前に、表内で使われている用語についていくつか解説を。「DB:確定給付(年金)」とは「受け取る年金額がほぼ一定(のルールに従った額)だが、もらうまでの掛け金に変動が生じる」。「DC:確定拠出(年金)」とは、「年金をもらうまでの掛け金が一定で、受け取る年金額に変動が生じる」。また、赤字で表記してあるのは原文では空欄だったものを、こちらで付け加えたている。

主要国の年金改革
主要国の年金改革

表の補完にあたり、フィンランドは【かもめノート】、フランスは【フランス年金制度の概要(厚生労働省、PDF)】、ドイツは[ドイツニュースダイジェスト]、スウェーデンは[スウェーデン大使館の資料(PDF)]、その他【海外の公的年金制度-ヨーロッパ編(All About)】などを使用した。

日本の高齢化の進行速度の速さぶりとそれに伴う年金制度の大変さは【50年前16.5人、今3.5人・高齢化社会を表す一つの数値】でふれた通りだが、先進諸外国でもレベルの差はあれどこも同じようなもので(医学の進歩により病死する人が減り、先進諸国間の戦争も無いのだから当然といえば当然)、各国政府とも制度の見直しに頭を痛めていることが分かる。

また、例えばフィンランドの年金制度が個人ベースのもの(世帯・家族単位ではない。夫が働いて労働年金受給資格があっても、妻は働かなければ労働年金は貰えず、国民年金はもらえない)など、国ごとに文化や年金制度の成り立ちをはじめ、各種事情によりさまざまな制度が導入されていることが見て取れる。

年金制度は
年金「貯蓄」制度では無く
年金「保険」制度である
注意してほしいのはどの国も「年金貯蓄制度」ではなく「年金保険制度」であること。つまり、年金制度を云々する時に必ず持ち上がる話「自分の支払った掛け金を貯蓄のように積み増していく」貯蓄制度ではなく、あくまでも「年金制度」という保険に加入するための「保険料」を掛け金として支払い、条件が満たされた時に「年金支給」の資格を受ける制度である、ということだ(もっとも年金制度の国庫負担分や、確定拠出年金のように対象者自身の運用自由度がある程度認められている部分を考えた場合、単なる「受給資格」取得だけ、というわけではないのだが)。

せっかく預けた年金保険料を職務怠慢でいい加減に運用したり、ましてや悪用する輩には厳罰をもって対処すべきであることに違いはない。一方で「年金そのものの概念」(貯蓄ではなく、資格授与のための料金)や諸外国の事情を十分に認識することも、年金保険料を支払っている一人一人には求められよう。

なお、機会があればあらためて触れることになるが、「年金保険」という言葉にあるように、年金制度には(本来の)保険的な意味合いもある。[障害基礎年金]などにも説明がある通り、事故や病気で重い障害を持ってしまった場合、所定の規則に従い年金保険料が支払われることになる。万が一、のことを考えると、見逃せないポイントといえよう。



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