【更新】インターネットと携帯電話の普及率を世界の他国と比べてみる
2009/08/09 09:25
総務省は2009年7月10日、平成21年(2009年)版の情報通信白書を発表した([発表ページ])。日本国内のインターネットや携帯電話など、情報通信関連の各種調査結果を反映した白書で、同年4月7日に発表されている[通信利用動向調査]のデータなどを盛り込んだ、同省の情報通信統計の集大成的レポートといえる。今回はその中から「情報格差」を生み出す原因の一つでもある「情報通信機器の普及率」について、日本と他国の差異をグラフ化してみることにする([該当資料ファイル、PDF])。
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今データは「ITU "World Telecommunication/ICT Indicators Database 2008"」から抽出され「情報通信白書」上で再構築されたもの。大本のデータは有料販売のもののため、今回は「情報通信白書」から「インターネットの普及率」「携帯電話の普及率」の二つについてグラフ化してみることにする。
白書では直前の項目で
・利用や安心面では課題が多い。
・機器やサービスの普及率の面ではやや遅れ気味。
など、ソフトウェア部門の立ち遅れと、末端部分の環境整備の浸透不足を指摘している。
そこで、インターネットと携帯電話の普及率について、OECD諸国の上位国と日本の値を並べてみたのが次の図。
インターネット普及率
携帯電話普及率
携帯電話の普及率が上位国では軒並み100%を超えているが、これは資料にもあるように「プリペイドの扱いやSIMカード(契約者情報を記録したICカード)の互換性への対応が各国で異なること」を起因とするもの。
例えば最上位のイタリアの場合、プリペイド方式によるSIMカードの利用が大勢を占めている。そしてSIMカード毎に電話番号が割り当てられ、利用者は気軽にカードを差し替えて「一つの携帯電話で」「複数の電話番号を」使いこなすことができる。多くの利用者が複数のSIMカードを用いて番号を使っているが、これは相手の携帯電話のSIMカードのメーカーに合わせて電話番号を使い分けるため(同じメーカー同士なら通話料金が安くなる。日本における同一キャリア間の特別割引制度みたいなもの)。ルクセンブルクなどでも同様の事情があるようだ。
【「なぜインターネットを利用しないのか?」その理由を探ってみる】や【携帯電話でのインターネット利用率】にもあるように、日本における情報機器の普及率を押しとどめているのは啓蒙不足、特に中高齢層向けのアピール不足と環境整備の不足が原因とされている。
OECD諸国でも特に普及率の高い北欧諸国では、例えばデンマークの【国民ポータル】のように、分野・年齢階層を横断する形で公的情報やサービスを提供する仕組みを作り、開放している。いわゆる「マイページ」機能も用意してあり、行政の申請などが自分の都合に合わせて簡単に行える仕組みだ。
国民ポータル(デンマーク)
先の「「なぜインターネットを利用しないのか?」その理由を探ってみる」でも文末で言及した、あるいは多数のご意見として頂いた「インターネットを使う必要が無いと主張する人は、本当の便利さを知らないだけではないか」という言葉にも代表されるように、普及率を高めるためには「どれだけインターネットが便利なのか」を今まで以上に知らしめる必要がある。それと共に「便利である」ことを実証し、「食わず嫌い」の人も納得するような(「国民ポータル」のような)多種多様で役立つサービスを送り出すだけでなく、利用ハードルが低くなるような工夫(操作をしやすくする、操作手順のガイドの提供など)も求められるだろう。
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