SNS上で積極的に発言できる環境とは?

2009/08/13 12:00

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発言イメージgooリサーチは2009年8月7日、個人的な学習(会社・団体・学校が提供している研修以外の自己学習)に関する慶応義塾大学SFC研究会との共同調査の結果を発表した。それによると、【ミクシィ(2121)】が運営する【mixi】に代表されるようなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などにおいて、もっとも発言しやすいと感じる環境は「自分が興味のある話題が展開されている場合」であることがわかった。元々SNSとは少人数間の井戸端会議的なものを前提としたネットワーク上のコミュニティサービスであるだけに、自分の興味関心が活動モチベーションを高める要因となるのは、ある意味当然といえよう(【発表リリース】)。



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今調査は2009年5月15日から18日の間にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1050人。男女比は49.6対50.4で、年齢階層比は10代・20代・30代・40代・50歳以上でほぼ均等割り当て。

日本では上記のmixi、海外ではFacebookやMySpaceなど、いくつかのSNSサービスがインターネットのコミュニティサービスとして注目と多数の会員数を集めている。その構成人数を考慮すると、一種の「デジタル国家」を形成しているようですらある。詳しくは【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その1「なぜ」と「理由」】で解説しているが、それらSNSの基本的コンセプトは「閉鎖的な小規模コミュニティの集合体」。

既存のネットコミュニティとmixiなどのSNSのコミュニティの違い。後者の方が個々のグループ内の結びつき・一体感が強い(再録)
既存のネットコミュニティとmixiなどのSNSのコミュニティの違い。後者の方が個々のグループ内の結びつき・一体感が強い(再録)

構造的に「SNSという大きな団体としてひとまとまり」という他のネットコミュニティとは違い、「SNSなる団体には属しているが、不特定多数のミニコミュニティの集合体」に近いスタイルを確立している。

例えるのならこれまでのネットコミュニティ、例えば掲示板やオンラインゲームなどが「埼玉県民や東京都民でもあるが、むしろ日本人だ」という日本的考え方だったのに対し、SNSは「アメリカ合衆国民ではあるが生まれも育ちもカリフォルニア州よ」という、アメリカ的考えに近い、と表現すれば分かるだろうか。学校ならば「自分は●×高校の生徒だ」が既存のネットコミュニティ、「自分は●年×組の一員だ」とするのがSNSでのとらえ方と見ればよい。そもそもSNSとは元々「たくさんの秘密クラブの集合体にしてシステムの提供」に過ぎない。最近は有言無実になりつつあるが、そういうことだ。

そしてコミュニティの集合体であるからこそ、「集合知」「ナレッジマネジメント」という言葉で表現できるような「お宝的情報」の宝庫ともなりうる。また積極的に参加する(意見を発する、書き込みをする)ことで、深くのめりこむこともできるようになる。

そこで、そのSNSにおいて、どのような環境があれば発言しやすい、つまり「見ているだけの傍観者」から「書き込んで意思疎通に加わる参加者」になりうるのかについて、複数回答で尋ねたところ、もっとも多い意見は「自分の興味がある話題が展開されている場合」で7割以上に達していた。

SNSなどで「発言しやすい」と感じる環境について(複数回答)
SNSなどで「発言しやすい」と感じる環境について(複数回答)

自分の興味がある内容が語られていれば、つい首を突っ込みたくなる。これは人間の性(さが)というもの。自分の知識を他人と共有できるかもしれないし、自分の知識をさらに高める意見を得られるかもしれないなど、知識欲を充足しうる機会を得られるからだ。もともとSNSが「興味がある項目に関する小規模コミュニティの集合体」であればこそ、自分の興味とかかわりのある内容が語られている可能性も高く、関心も高まる。

また、「友人がいる場合」は、知っている人がいることでお互いの意思疎通がしやすく、共通の話題を探り合いやすいというメリットがある。言葉のやりとりのハードルが低いと表現すれば分かりやすいだろうか。

SNS上の発言のし易さは
クラス替え直後の
行動パターンに似ている。
「同一興味持つグループを探せるか」
「昔からの知人を見つけられるか」
がポイント。
トップの2項目「自分の興味がある話題が展開されている場合」「友人がいる場合」は、「クラス替えをした(あるいは中学から高校、高校から大学へ進学をした)直後の教室内での行動」に例えるとわかりやすいだろう。自分の興味がある話をしているところに分け入って共通の話題を探ることから知り合いをつくろうとしたり、自分の趣味にあったサークルを探したり、「昔からの知り合い」を頼り会話を交わす。似たような行動パターンが、SNS上でも展開され、発言のしやすさにも関わってくる。そう考えれば、わかりやすいはずだ。



招待イメージ一部のSNSでは発言を活性化(これはSNSそのものの活性化にも直結する)させるため、発言の評価システムを採用するところもある。しかしこれは今調査結果を見る限りでは、発言を促す仕組みとしてはさほど効果を上げていないようようだ(とはいえ2-3割が効果あり、と判断している結果を「良し」と見なすこともできるが)。

SNSの管理運営側としては、いかに多くの「興味ある話題を展開している場所」を提供し得るか、そしてどのようにして「会員の友人がSNS上に要るような仕組み」を作りえるかが、発言のし易さを用意しうるポイントとなるのだろう。例えばSNSに加入していない自分の友達をSNSに招待する仕組みのように…。



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