アメリカの住宅事情が「手に取るように」分かる地図
2009/08/08 10:06
昨今の景気後退をもたらした「金融(工学)危機」の主要因、アメリカの住宅事情。昨今では関連指標が一部好転を見せ最悪期は脱したとする解釈もあるが、【アメリカの超住宅バブルとその後の暴落が分かるグラフ】などにもあるように「まだ底では無い」「油断は禁物」とする意見も多い。どちらが真実なのかはさておき、そのアメリカの住宅事情をかいまみることができるマップが、先日【Calcurated Risk】で紹介されていた。タイトルは【Real estate(不動産)】と非常にシンプルなものだが、非常に驚かされる内容ではある。
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Real estate(不動産)マップ
このマップはアメリカ国内で「差し押さえられた(あるいは差し押さえられそうな)」住宅のデータを示したもので、具体的にはピンクの丸ひとつひとつがそれぞれ「差し押さえ住宅一軒」に該当する。ウェブ上に張り付けられている地図の場合にはクリックすると吹き出しの形で、別ウィンドウで表示させた場合にはそれに加えて左側のサイドバーで、その住宅の詳細が表示される。住宅の概要や投稿日、価格、販売ブローカー、詳細な情報、さらには物件に興味がある人向けの連絡先・個々の不動産サイトの該当物件へのリンクなどが提供され、物件の内情を確認することができる(一部情報は古い物がある、とは元記事での指摘)、これで詳細な周囲の環境や間取り・構成要素の検索や並べ替え・絞り込み機能があれば、住宅情報サイトも顔負けの情報を提供するものだ。
初期状態で表示されるのはアメリカ・ニューヨーク市周辺の地図だが、表示範囲を広げるとアメリカ全土、さらには西ヨーロッパや中国などにも物件を確認できる。物件のデータの一部には入力者撮影によるその物件の外装・内装などの写真も掲載され、さらに対応地域ではグーグルストリートビューでその物件の実情や周囲環境をチェックすることも可能(不動産屋側からすれば、このマップから自社の物件に誘導して手持ち物件を紹介したり、有料情報を提供して課金で稼ぐ、という仕組みらしい)。
件のマップから、ある物件をチェックし、その詳細サイトからリンクされている不動産屋の専用サイトへアクセス(【該当物件ページ】)。見た目はそれなりに「アメリカらしい」住宅だが、内装はすでになくがらんどう…。
アメリカの住宅の「差し押さえ」については【「54軒に1軒は差し押さえ」……アメリカの住宅差し押さえ件数、2008年は233万0483件、前年比81%増】で概要を説明、あるいは【差し押さえ物件(Foreclosure)の買い方(アメリカ/米国・メキシコ 不動産投資日記)】などが詳しいが、色々な段階で「支払滞納」状態を経て、最終的に「REO(Real Estate Owned)(貸し手に差し押さえられた)」状態となる。
日本にも差し押さえ・競売物件が無いわけではない。しかし、このように具体的な場所やデータと共に、多数の「現状」をつかみ取るように(場所によってはグーグルストリートビューでその場にいるような体験までして)確認すると、アメリカの不動産市場問題の根深さを改めて認識せざるを得ない。
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