【更新】日本はまだまだ下の下?! 総広告費に占めるネット広告費の割合
2009/08/03 07:24
屋外広告などは新しい仕組み(例えば【「トレインチャンネル」-電車の中の液晶モニタ映像広告にみる、プロモーションメディア広告の善戦ぶり】で紹介したトレインチャンネルの展開など)をとりいれてがんばっているものの、全般的に景気後退のあおりを受けて広告市場は縮小を続けている。それは毎月掲載している経済産業省発表データを元にした売上推移(最新は【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(2009年7月発表分)】)を見れば明らか。ただしそのようなつらい状況下においても、もともと市場が小さかったのと、成長市場であることを受けて、インターネット広告は他の部門と比べれば善戦を続けている。結果として、広告費全体に占めるインターネット広告費の割合は増加を見せることになる。【メイディアパブ】で先日紹介された、カナダのインタラクティブ広告協会【Interactive Advertising Bureau of Canada】の発表資料【2008 Actual + 2009 Estimated Canadian Online Advertising Revenue Survey(PDF)】では欧米各国における「広告費全体に占めるインターネット広告費の割合比較」が掲載されていた。今回はそれのグラフを再構築してみることにする。
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同資料は主にカナダ国内における広告市場の状況についてレポートされたもの、「2008年はインターネット広告費がラジオ広告費を超えた」など、気になるデータも掲載されている。しかし一番気になるのは、12ページの「Online As A Percentage Of All Media Spend By Country - 2008」。国別「総広告費におけるインターネット広告費の割合」。元記事にもあるように、国毎にメディアの区分方法や計測スタイルに違いがあるので、多少の誤差はあるから注意すべきなのだが、それを差し引いても興味深いグラフには違いない。
残念ながらそのデータには日本の比率は掲載されていない。そこで、こちらで独自に算出した上で盛り込み、グラフを再構成してみることにする。【2008年の媒体別広告費】で紹介した[電通(4324)]発表の概算値では、日本のインターネット広告費は6983億円。それに対して総広告費は6兆6926億円なので、比率は10.4%となる。一方毎月記事にしている経済産業省の特定サービス産業動態統計調査データによると、2008年における総広告費は5兆5240億1200万円で、そのうちインターネット広告は1649億4900万円。比率にすると3.0%。「インターネット広告」の定義付けに違いがあるのだろうが、電通の値と3倍強もの差がある。せっかくなので両方載せたのが、次のグラフ。
総広告費に占めるインターネット広告費の割合(2008年)
電通のデータにしても、経済産業省のデータにしても、日本の立ち位置がかなり下であることに違いはない。インフラ普及率は他国に比べてそん色ないどころか、携帯電話の普及率を考慮すればむしろ勝っているはずなのに、どうしたことだろうか。日本では「単に広告費全体が大きくてインターネット広告は絶対額でまだ小さいから」なのかもしれないし、「既存メディア広告の勢力がまだまだ圧倒的」なのかもしれない。どちらにしても、数字の上では「立ち遅れている」ことに違いはない。
しかしヨーロッパ、特に北欧諸国ではインターネット広告が全広告費に占める割合はかなりの値を見せている。メディア広告に対する考え方が柔軟なのか、それとも景気後退のあおりを受けて広告費そのものに対する効率化が推し進められた結果によるものかは不明だが(元レポートにも説明は無し)、これらの国ではある意味「一歩先行く展開」を見せているのだろう。
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