たたみ1畳あたりの家賃、「民間の鉄筋住宅」は借家全体平均に748円上乗せ(最新)

2025/03/08 02:42

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2025-0221人々が居住する住宅は所有状態で区分すると大きく「持家」「借家(賃貸住宅)」に二分される。「一国一城の主」の言葉にある通り、多くの人は「持家」獲得のために努力を続けることになるが、「借家」で満足する人、多様な理由で借家住まいを強いられる人も多い。その借家における賃貸料、つまり家賃の平均相場について、総務省統計局が2025年1月29日に発表した、2023年時点における住宅・土地統計調査の確定集計結果から確認をしていくことにする。現在の平均的な家賃相場そのもの、そして住宅の種類における水準の差異、さらには過去からの動向はいかなるものだろうか(【令和5年住宅・土地統計調査】)。

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今調査の調査要綱は先行記事【住宅の空き家率は13.8%で過去最高に(最新)】を参照のこと。

1978年以降における、「店舗その他との併用住宅も含めた借家全体」(総数)をはじめとする、主要借家の畳(たたみ)1畳分あたりの全国平均家賃の推移は次の通り。「公営の借家」(都営、市区町村が運営する賃貸住宅。いわゆる「公団」)に関しては1990年代以降ほぼ横ばいの傾向をみせていることが分かる。物価の上昇もほとんど起きていないことを合わせて考えれば、非常に安定した家賃で提供されている借家といえる。もっともその分、入居条件が厳しく、誰もが気軽に借りられるとは限らない(それでも最近の地方における物件では、そのハードルは随分と下がっているようだが)。

↑ 借家の種類別1畳あたり家賃(円)
↑ 借家の種類別1畳あたり家賃(円)

「給与住宅」とは「社宅や公務員住宅などのように、会社や団体、官公庁などが所有または管理して、その職員を職務の都合上または給与の一部として居住させている住宅」を指す。言い換えれば給金の一部が家賃として肩代わりされていることになる。この「給与住宅」は元々福利厚生の一環的なところもあり、長らく各項目中では最安値を示していたが、2003年には「公営の借家」と逆転。その後も家賃は上昇中。一般的な借家と比べればまだまだ割安だが、この上昇ぶりはやや気になるところ。居住環境そのものを改善させて、「単に住めればよい」から「快適な住環境の提供」へとシフトし、就業のメリットを底上げ。その過程で家賃も引き上げざるを得なくなっているのかもしれない(それでもまだまだ民間の一般的な借家と比べれば割安だが)。

「都市再生機構・公社の借家」は漸増を続けているが、意外にも民間の一般的な借家は「民間・木造借家」「民間・非木造借家(=鉄筋コンクリート)」ともに横ばいから漸減の傾向にあった。民間の借家相場が安定化していた表れともいえる。ただし直近の2023年では他の種類同様、前回調査と比べると増加している。ロシアによるウクライナへの侵略戦争で生じた世界的な資源高による物価高の前には、民間借家も家賃の値上げをせざるを得ないようだ。

相場安定、漸減化していた理由は複数考えられる。賃貸市場そのものの安定化、さらには供給側の過多、借入側の可処分所得の横ばい傾向、そして既存賃貸住宅の老朽化に伴う家賃アップの困難さなどが想起されよう。


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