時代は一戸建てから共同住宅へ・さらに高層化も進む(最新)

2019/09/02 05:15

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2019-0825総務省統計局は2019年4月26日付で、2018年時点における住宅・土地統計調査の速報集計結果を発表した。その内容によれば、日本における住宅の建て方としては一戸建ての割合が減り、共同住宅の割合が増加する傾向にあることがわかった。また、共同住宅においても一層の高層化が進み、特に6階建以上の「エレベーター設置が義務付けられている」高層住宅の伸びが著しいことが確認されている。今回はこれら住宅における建て方別の動向を確認していく(【発表ページ:平成30年住宅・土地統計調査】)。



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今調査の調査要綱は先行記事【住宅の空き家率は13.6%で過去最高に(最新)】を参照のこと。

長屋建てのサンプル住宅の建て方にはいわゆる一軒家こと「一戸建て」、木造平屋で基本的に1階建の建物が複数に分かれて2軒以上の居住区画を持ち、それぞれ独立した玄関を持つ「長屋建て」(【建物コレクションの記事】の「「集合住宅C」が該当)、そしてアパートやマンションなどの「共同住宅」などが存在する。個々の住宅様式の戸数比率の動向を見比べたのが次のグラフ。

↑ 住宅の建て方別住宅割合(全国)
↑ 住宅の建て方別住宅割合(全国)

1958年には16.6%を占めていた長屋建ても直近の2018年では2.6%でしかない一方、5.6%に留まっていた共同住宅は4割以上に達しており、一戸建てに迫る勢いを見せている。一戸建ての価格の上昇、あるいは「手に届きにくい」存在になったのか、それとも居住に関するライフスタイルに変化が生じたのかはこのグラフからだけでは分からないが、ともあれ住宅の建築様式に大きな動きがあることは確か。【一戸建てとマンション、同じ条件ならどちらを手にしたい?】などに有る通り、一戸建て・共同住宅それぞれに長所・短所があるが、昨今ではセキュリティの問題やメンテの容易さから、共同住宅の方がお手軽さの点で上にある感は否めない。

それでは増加の一途をたどる「共同住宅」においては、どのような変化が見られるのだろうか。階数別の住宅数推移を見ると、1・2階建の「低層アパート・マンション」形式の伸びが緩やかなのに対し、3-5階の中層、そして6階以上の高層共同住宅が大きく伸びているのが分かる。とりわけ15階建以上の高層共同住宅は、元々数が少なかったのも一因だが、著しい増加率を示している。

↑ 共同住宅の階数別住宅数(全国、万戸)
↑ 共同住宅の階数別住宅数(全国、万戸)

↑ 共同住宅の階数別住宅数(全国、高層建造物、万戸)
↑ 共同住宅の階数別住宅数(全国、高層建造物、万戸)

3-5階の中層共同住宅は一定数ずつ順調に伸びているが、その一方で6階以上の高層共同住宅は加速度的な伸びを示している。2003年には1・2階の低層共同住宅の数を抜き、中層に迫る勢い。その分3-5階の中層住宅の伸びは大人しいものになりつつある。

これをさらに細かく区分し、全体に占める割合でグラフを生成したのが次の図。

↑ 共同住宅の階数別割合(全国、1968・73年は11-14階・15階以上の計測無し)
↑ 共同住宅の階数別割合(全国、1968・73年は11-14階・15階以上の計測無し)

1968・1973年は11-14階・15階以上の計測データが確認できずグラフにも反映されていないが、

・1-2階の低層平屋建て型の共同住宅は比率的には減少中(※絶対数は緩やかながらも増加)

・3-5階の中層共同住宅のピークは1993年。以後は緩やかに比率が減少している(※絶対数は増加している)

・6-10階の高層共同住宅だけでなく、11-14階、さらには15階以上の高高層共同住宅も着実に割合を増加させている。


などの傾向が把握できる。賃貸物件・分譲マンションの需要としては「交通の便がよい」「駅に近い」などの立地条件を求める声が大きい。そのような好条件の場所に少しでも多くの物件を確保するためには、必然的に高層化が必要となる(同じ場所に1階建てと50階建ての共同住宅を建てた場合、単純計算では確保できる住宅戸数は50倍も違う。実際には共用部分やエレベーターの利用面積も異なるので、もう少し倍率は低くなるが)。自然の摂理により、高層共同住宅の戸数が増加しているのだろう。

他方2013年から直近の2018年においては、ほとんど比率に違いが生じていない。共同住宅の階数的構造変化にストップがかかったのかもしれない。



高層(共同)住宅においては、6階以上は義務、3階から5階建ては努力目標としてエレベーターの設置が義務付けられている。また入居者の高齢化に伴い、エレベーターを含めたバリアフリー対策の需要も高まりを見せている。共同住宅も含め空き家が増えている昨今、住宅を提供する側は少しでもよい条件を揃えなければ、入居者不足という悪夢に陥ってしまう。

今後さらに共同住宅の高層化が続けば、高層共同住宅ならではの環境整備の拡充が求められ、セールスポイントにもなるに違いない。


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