【更新】個人の携帯電話やパソコン利用率
2009/07/31 04:30
総務省は2009年7月10日、平成21年(2009年)版の情報通信白書を発表した([発表ページ])。日本国内のインターネットや携帯電話など、情報通信関連の各種調査結果を反映した白書で、同年4月7日に発表されている[通信利用動向調査]のデータなどを盛り込んだ、同省の情報通信統計の集大成的レポートとなっている。今回は情報通信関連機器の中でも代表格の「携帯電話とパソコンに関する利用率」をグラフ化してみることにする。
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今調査は2009年1月に、層化二段抽出方式による無作為抽出で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員6256世帯に対して行われたもの。有効回答数は4515世帯・1万3680人(企業に対して行われたものは常用雇用者規模100人以上2870企業/有効回答数2012企業)。調査方法は郵送による調査票の配布および回収なので、各媒体の保有率は調査結果に影響を与えていない。
パソコンや携帯電話を含めたインターネット接続可能な機器への利用率はすでに【60代が区分線!? 年齢階層別インターネット利用率】でお伝えした通り。仕事で使っている場面が多いからか、60歳代を区切りとして利用率が大きく異なる階層ができている。
それでは個人ベースにおける、携帯電話やパソコンを利用しているか否か(いわゆる「利用率」)はいかなる動きを見せているのだろうか。携帯電話やパソコンの平均利用時間が若年層ほど長く、当然利用率も高いという結果は推定できる(【ついに「テレビよりインターネット」の世代登場・年齢差がきわだつメディアへの接触時間】)。結果としてはまさにその通りだが、いくつかの特異な傾向も見受けられた。
携帯電話・パソコンの利用率(年齢階層別・個人/2008年末)
全体としては携帯電話の利用率がパソコンを10ポイント強上回っている。今のパソコンも携帯電話も事実上インターネット端末と化しているので、「インターネット端末としてはパソコンよりも携帯電話の方が利用率・普及率が高い」とみなしても良いだろう。興味深いのは世代別の変移で、
・ 〃 60代後半でも過半数に達しており、普及率はかなり高い。
・パソコンの利用率は40代-50代を境目に急速に低下する。携帯電話利用率とのかい離も大きくなる(A)。
・10代はパソコンの方が携帯電話よりも利用率が高い(B)。
などの傾向がみられる。(A)については、パソコンは携帯電話よりも高価格で、維持・使用に複雑な操作が必要なこと、価格が高いことなどが要因と思われる。(B)は10代の若年層では携帯電話の保有そのものが許されていない場合が多いこと、(「保有」ではなく「利用」率であることから)学校や家庭でパソコンを使う機会が多いのが原因と推定される。
高齢者向け携帯電話には通話機能だけで本当の「携帯」電話であるものも多いが、単純ながらも電子メール機能などインターネット機能を併せ持つ機種も少なくない。【高齢者もケータイでネット世界にダイブする】でも触れているが、高齢者にとって携帯電話はパソコンよりハードルが低い、インターネット世界への架け橋の立ち位置にあるのかもしれない。
なおやや余談ではあるが、該当資料には年収別のパソコン・携帯電話利用率の推移も掲載されている。
携帯電話・パソコンの利用率(年収別・個人/2008年末)
年齢階層別の高齢者の一部事由と同様、携帯電話よりもパソコンの方が価格的ハードルが高いせいもあり、低所得層ほど携帯電話とパソコンの利用率かい離が大きいのが分かる。逆にいえば携帯電話は所得を問わず(といっても最大30ポイントほどの差はあるが)インターネットへの世界の窓口となりうる存在、ということなのだろう。
一方、パソコンの利用率だけを見ると、最大で50ポイントほどの差異がある。収入の違いによるITギャップとでも呼ぶのだろうか。何をするにしても「パソコンが使える・使えない」によって大きな結果の違いが生じる可能性があることを考えると、この格差を埋めることが早急な経済対策の一つに思えてならない。
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