FPを知ってる人は多いけど、「相談したい事は無いです」
2009/07/22 18:00
楽天リサーチは2009年7月21日、ファイナンシャルプランナー(FP)に関するインターネット調査の結果を発表した。それによると、FPの認知度は「名前を知っている」が4割超、業務内容まで知っている人は3人に1人に達しており、それなりに高いことがわかった。一方で自分がFPに相談したいかどうかについては、4割近くが「相談したくない」と回答しており、その理由として「相談したいことがない」「費用がかかる」「個人情報を伝えねばならない」などが上位についている。「お金に関するアドバイスを受ける」という文化が日本ではまだ定着していない様子がうかがえる結果となっている(『発表リリース』)。
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今調査は2009年6月24日から25日、インターネット経由で20歳から69歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比は1対1で、年齢階層比は20代・30代・40代・50代・60代で均等割り当て。
最近は経済番組やコラムでもよく顔を見せる・耳にするようになったファイナンシャル・プランナー。「経済評論家」のような自称で誰でも名乗れる曖昧な肩書ではなく※、しっかりとした協会のもとで行われている試験に合格した人だけが名乗ることができる国家資格・民間資格である。
※ただし業務独占資格ではないため、一般名詞としての「ファイナンシャル・プランナー」を名乗る分には違法性は無い。
さて、その「ファイナンシャル・プランナー」についての認知度はどれくらいのものだろうか。調査母体においては「聞いたことがある」人は42.7%に達していた。また、職務内容や資格について認識している人は34.5%と3人に1人の割合となった。比較対象となる過去のデータは無いが、数年前の「何それ?」的な状態と比べれば、かなり認知度は高まっているといえる。
FPの認知度
FPは「お金の専門家」と言われていることもあり、相談できる内容は多岐に及ぶ。貯蓄や資産運用、年金や老後の生活、保険の見直し、ライフプラン、確定申告や税金、住宅購入や住宅ローン、家計管理などなど数え上げればきりがない。FP独自で対応できるものは対応するし、業務独占資格に抵触するものについては専門家(例えば弁護士や税理士、保険外交員など)を紹介することもある。
「FPに相談したい内容」について同調査では尋ねているが、そもそも論として「相談したいとは思わない」という項目を選んだ人が一番多く、39.0%と4割近くに達していた。その4割近い人に、「どうして相談したいとは思わないのか」と質問したところ、もっとも多い意見は「相談したいことがないから」で複数回答ながらも過半数に達していた。
なぜFPに相談したくないのか(相談したくないという回答者39.0%対象)
ただし、上記の具体例(あれでも一部にすぎない)を見れば分かるように、FPそのものの職務内容の認知度を考えると、「相談したいことが無い」の回答者の少なからずが「こんなこともできるんですよ」と教えられると「あ、それなら考えても良いな」と判断を変えるものと思われる(【「今後の人生プラン、持ってます? 」団塊世代で明確なプラン持ちはわずか6.3%】にもあるように、ライフプランを持っている人は団塊世代ですら1割に満たないのだから)。
また、「費用がかかる」の回答が多いことから分かるように、「形にならないもの、物理的なもの以外のサービスは基本的に無料」という日本的な文化が根強く、「相談事にお金をかけるなんてもったいない」という反発心が見て取れる。また、「個人情報を教えたくない」「保険や金融商品の勧誘を受けるのはイヤ」など、FPが胡散臭いものというイメージを持つ人もいるようだ(※職務上知りえた個人情報は守秘義務の対象になるし、契約の際にその旨はしっかりと説明される。また、保険や金融商品の勧誘はあくまでも他のアドバイスの中で「選択肢」の一つとして紹介しているに過ぎない。もちろん一部には本末転倒なFPもいるようだが)。
ちなみにグラフの掲載は略するが「自分がFPに相談する際、妥当だと思われる相談料」については「有料なら相談しない」が36.4%、「1時間あたり3000円未満」が38.2%、「1時間あたり3000-5000円未満」が21.6%という結果が出ている。リリースでは「有用な情報に対してそれなりの対価を払うという意識の低さ」がこのような結果が出る原因としているが、その他にも「FPの認知度そのものの低さ(「弁護士」「税理士」などと比べればまだまだ低い)」「FPが職務として行っていることの重要性(お金との上手な付き合い方、ライプランの構築など)」の啓蒙不足が一因だと思われる。有用な情報だと思っていなければ、対価を支払う考えなど思いもつかないからだ。
特にライフプランの構築は、先の「「今後の人生プラン、持ってます? 」団塊世代で明確なプラン持ちはわずか6.3%」でも説明しているように、昨今問題視されている「高齢者への金融資産の偏り」を解決しうる有効な手立ての一つに違いない。関連団体や省庁はもっと積極的に啓蒙活動を推し進めてほしいものである。
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