選挙の声援、女性は「ホーホケキョ」・男性は「カー」!?
2009/07/05 10:55
当方(不破)が住まう東京都では2009年7月12日に都議会議員選挙が行われるため、日中選挙カーの演説や声援をあちこち(それこそ自宅内でも屋外からの大音量で)耳にするようになった。その選挙関連の言葉について、先日「カラス」というキーワードを耳にした。その人曰く「これからカラスで忙しい」ということだったのだが……当方の頭に思い浮かんだのは「カラスって何?」という疑問だった。
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「カラス」というと、「黒いトリ」「日中カーカー鳴いている」「あちこちのごみ収集場をあさっている」「案外かしこい」などのイメージが頭に思い浮かぶ。これらのことから、「カラスって、候補者の随行スタッフという意味なのかな」「それともあちこちのイベントに候補者と共に回って、司会なども行う参謀的な立場の人?」「あるいは昔のゲーム『SPY vs SPY』のように諜報活動をする立場の人かも」と思ったが、よく調べて見ると似て非なるものだった。
選挙運動期間中に市中でよく見かける選挙カーにおいて、立候補者本人が直接語るかけることは滅多にない。選挙カーに同乗する広報員・運動員が選挙姿勢や方針、あるいは候補者の名前そのものを連呼する場合がほとんど。「カラス」とは、その選挙カーに搭乗して候補者の代わりに街頭宣伝をする・語る男性の事を指すのだそうな。
・「カラス」……選挙カーに同乗して街頭宣伝をする男性
よく知られているのは「ウグイス嬢」。これは選挙に限らず、高校野球などでもその名を知られており、多くの人が認識している。しかし「カラス」は「ウグイス嬢」ほど知られてはいない。
言葉の由来はよく分からないが、「ウグイス嬢」の「ウグイス」は鳴き声がキレイだから・女性的イメージが強いのに対し、「カラス」は声がよく通ること・男性的イメージが強いこと、そして何より背広を着ることが多く「黒」のイメージが強いことが語源となったのだろう。とはいえ、女性が「ウグイス”嬢”」と敬称的な「嬢」がつくのに対し、男性は「カラス」だけで何もつかないのは少々納得がいかないところもある(。とはいえ、例えば「カラス君」では間が抜けるし、「カラス侯」「カラス殿」では候補者より偉そうに見えてしまう)。
ちなみに今回「ウグイス嬢」「カラス」を調べる際に参考にした【海江田万里氏の「うまレターWEB」】によると、
・「ウグイス嬢」のほとんどはイベントの司会やキャンペーンガールなどの「イベント・司会のプロ」で、選挙の際に動員される。
・公職選挙法では車上運動員への日当は1万5000円以内。
・宣伝活動ができるのは選挙期間中の午前8時から午後8時まで(公職選挙法140条の2)
・「カラス」は「ウグイス嬢」と比べると住民から嫌がられる場合もある。
など、色々な裏事情があるという。また、海江田万里氏は過去において、プロレスのリングアナを臨時に「カラス」として雇ったところ、耳にする選挙民の受けが良いだけでなく候補者のやる気もアップするという、相乗効果が得られた体験談を語っている。恐らくは単に名前を連呼するだけでなく、感情を込めて状況を説明する語り口が新鮮で「聴く気にさせる」魅力を持っていたのだろう。
選挙カーから語られるセリフで一番多いのは、その候補者の名前そのもの。理由としては単純明快で「連呼することで名前を覚えてもらい、投票用紙にその名前を書いてもらうため」「短時間に繰り返せるため、暗記されやすい」とのことだ。選挙運動の方法論としては一番なのだろうが、それでは洗脳と何ら変わりが無く、なぜその候補者を選ぶ必要があるのかという理由を見出すことが出来なくなってしまう。
「ウグイス嬢」にしても「カラス」にしても、もう少し名前の連呼以外の活躍の場を与えて欲しいと思うのは当方だけだろうか。名前の連呼だけなら、それこそ「初音ミク」をはじめとした音声合成で事足りるわけであるし……。
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