携帯の広告メリット「絞込み」「費用が手ごろ」で「クロスな展開」
2009/07/03 05:09
日経BP社「日経ネットマーケティング」とディーツー コミュニケーションズ(D2C)は2009年6月25日、携帯電話を利用したモバイル広告に関する利用動向調査結果を発表した。それによると、すでに携帯電話に向けて広告を出稿した調査母体の企業にとって、最大の利点・魅力は「ターゲットを絞り込みやすい」ことであるのが分かった。さらに「自社商品のターゲットにマッチしている」点が次点につくなど、「広告を配信する相手を絞り込みやすい」携帯電話向け広告のメリットを、広告出稿側も利点として認識している様子が見て取れる(【発表リリース、PDF】)。
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今調査は2009年4月10日から5月14日にかけて、郵送とウェブ調査によって行われたもので、調査対象は日本国内の上場企業・有力未上場企業4126社。そのうち444社が回答している。調査には日本経済新聞社の日経メディアラボも協力している。
回答母体444社のうち、2008年度において携帯電話向け広告を出稿した経験がある企業は53社・11.9%。モバイル向けの自社サイトを開設していない企業が7割(今調査別項目にて)にも達している現状を見ると、広告出稿率1割強という低さも仕方が無いのかもしれない。
その11.9%の出稿企業に対し、携帯電話向けモバイル広告の利点や魅力を複数回答で答えてもらったところ、もっとも多い回答を得られたのは「ターゲットを絞り込みやすい」で約三分の一に達していた。
モバイル広告で感じる利点・魅力(出稿済み企業)
携帯電話は各自言葉通り「肌身離さず」携帯していることから、パソコン向けインターネット広告、さらには通常のメディア(テレビや新聞、屋外広告など)と比べてターゲットを絞りやすく、個々の視聴者への訴求力が大きい。「ターゲットを絞り込みやすい」がトップに来たのも、そのメリットを広告出稿側も十分知っている、あるいは利用して実感した上での結果だろう。第二位の「自社商品のターゲットにマッチしている」も、結局携帯電話の広告の相手が誰・どんな属性かが分からなければ「マッチしている」と確認することは出来ないので、近しい回答ともいえる。
第三位の「費用が手ごろ」はともかく、第四位の「クロスメディアに効果的」というのも携帯電話広告の利点。テレビや新聞などの既存メディアが「一方向のメディア」であるのに対し、携帯電話は「双方向(受信もできれば送信も出来る)メディア」。しかもいつでもどこでもアクセスできる機動力の高さを誇る。例えばテレビに映し出された商品を携帯電話で検索したり、電車のつり革広告の雑誌の情報をその場で調べるなど、「利用者から積極的に情報を求めるアクション」が「すぐに」できるのも携帯電話ならではの特徴。【詳しくは「○×で検索」……広告を見てケータイで検索した人は3割超】などにもあるように、印象の強い広告を他メディアで展開し、詳しい情報を携帯電話サイト上に置くという手法も最近ではよく使われる。
また、掲載は略するがパソコンの広告と比較した際に携帯電話上の広告は「CPA(顧客獲得単価)」や「応募者数・会員登録者数の増加」の点で優れているという評価が多いように、「費用対効果が明確」「商品・サービスの購買に結びつきやすい」「会員獲得に結びつきやすい」など、具体的な成果が上がりやすいのも、モバイル広告が好まれる要因として上位に挙げられている。
企業そのものの携帯サイトが(調査母体では)1割強しか展開していない現状を見ると、パソコン向けサイト・広告と比べて携帯電話のサイト・広告はまだまだ認知度・理解度が低い。「携帯電話利用者にアピールしても意味が無い」という企業もあるのは事実。しかし携帯電話そのものの普及率も高まる一方の昨今においては、パソコンと同程度の扱いをしても良い時期に来ているのではないだろうか。
携帯電話は「個人」のふところに収まる情報メディアなため、BtoB(企業対企業)よりもBtoC(企業対個人)へのアピールに適している。モバイル広告・携帯サイトはBtoB企業にはあまり必要の無いものだろうが、BtoC企業にとっては今後必要不可欠なものになると思われる。それに伴い、モバイル広告もますますニーズが高まることだろう。
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