【更新】素晴らしきローテクな発明たち
2009/06/22 06:20
世の中に存在する物理的・化学的な現象を組み合わせたり、あるいは特異な事例を意図的に起こさせて役立てる品物を作り上げる「発明」。「必要は発明の母」とも言われるように、人々の願望は多種多様な発明品を世に送り出し、生活を豊かにしてきた。その「発明」には技術的に非常に高レベルなものもあれば、単純な技術・用品の組み合わせで出来るローテクなものもある。【ODDEE.com】ではそれら「発明」の中から、簡単な技術の組み合わせで作られた「ローテク発明」を取り上げて紹介していた。今回はそこから特に気になった、実用的で素晴らしき発想による発明品を2つほど紹介することにしよう。
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Adjustable Glasses(自分で調整できる水レンズのメガネ)
イギリス・オックスフォード大学の物理学部Josh Silver教授が発明したメガネ。一見ごく普通のメガネに見えるが、レンズ部分は水が入ったプラスチックの袋で出来ている。袋には注射器を使って水の量を調整できるようになっていて、この水の量でレンズの厚み=メガネの「度」が調整可能。
構造が極めてシンプルで、かつ非常に安価に作成できること(1つあたり1ドル程度)、度の調整にメガネなどの専門家が要らないことから、発展途上国・貧困に苦しむ人たちへタダで配ることが可能となった。仮に普通のメガネを配るとなると、初期費用がかかるだけでなく、トラブルが発生したり度が変わっても彼らに修理調整は出来ないなどのデメリットが生じる。しかしレンズ部分が水なら、彼らにでも容易にメンテナンスが行える(技術的・費用的の面で)。
現在すでに3万組のAdjustable Glassesが提供されており、2020年までに10億組のメガネを配ることが目的なのだという。
Non-electrical Refrigerator(電気を使わない冷蔵庫、pot-in-pot cooling system)
1995年に北ナイジェリアの教師Mohammed Bah Abba氏が発明した、電気を使わない「つぼ製冷蔵庫」。陶器製の2種類のつぼを重ねるように配し、そのスキマに水でぬらした砂を敷き詰める。そして全体をぬれた布で覆う。これだけの仕組みで、内部のつぼに野菜や果物、飲み物を入れて、冷やすことができる。
仕組みとしては簡単で、二つのつぼの間に敷き詰められた「ぬれた砂」の水分が蒸発する際に、周囲から熱を吸収するため(気化熱)、内部のつぼが冷やされるという仕組み。さすがに「冷凍」とまではいかないが、15度-20度の温度を維持できるという。何より電気や機械を一切使わずに使える、非常に素晴らしい発明品として、2000年には[Rolex Award]も受賞しているとのこと。
元記事では当初、面白&素晴らしきローテク発明として、別のもの(大型ペットボトルを自転車と組み合わせて水上を走る、水上自転車)をトップに掲載し、今回の2発明は記事の間に挟みこむように掲載していた。しかしもう一度見直した時には順位が入れ替えられ、「水メガネ」と「つぼ冷蔵庫」が最上位についていた。
これについては何の説明もなされていないが、恐らくは他のローテク発明と比べてこの5つが抜きん出て素晴らしく、実用的であったためと思われる。以前【日本の「かまど」が世界で活躍、効率的で「腰も楽」と評判】でも紹介したが、機械技術が発達した今となっては時代遅れに見える技術も、地域によっては大活躍できる場面・設備が数多く存在する。ハイテクの組み合わせで先端技術を生み出すことは素晴らしいものだが、このようなローテク・いにしえの知識の組み合わせで新たな世界への扉を開くのも、同じくらい世の中に貢献しうる、素敵な発明だといえよう。
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