サトウ食品、テレビCMの抑制で営業利益3.2倍へ
2009/06/16 05:13
【サトウ食品工業(2923)】は2009年6月15日、2009年4月期における決算短信を発表した。景気後退感や加工食品に対する消費者の身構え、材料費の高騰、さらにはテレビCMや販売促進企画費の抑制で売上が前年比で5%ほど落ち込んだものの、広告宣伝費や販売促進費などのコスト削減が利益構造の改善に寄与し、営業利益が前年比で200%を超える伸びとなった(発表リリース、PDF)。
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サトウ食品といえば「サトウの切り餅」やパッケージされた「サトウのごはん」で知られている。該当期においては加工食品業界そのものへの「食の安全・安心」に対する世間一般の風当たりが強く、売上の伸び悩みが懸念されていた。同社では安全・安心のさらなる確保はもちろんのこと、
るとともに、生産効率の向上及び業務の効率化に取り組んでまいりました。
--平成20年産うるち米価格の上昇や包装資材等の製造コスト上昇を吸収すべく、販売促進費の削減に努めるとともにテレビCMの抑制を行いました。
とリリースで明記するようにメディアへの広告出稿を抑えるなどの経費削減を実施。結果、売上は前年比でやや落ち込んだものの、営業利益は前年比で319.7%(219.7%増)の9億6632万5000円となった。
サトウ食品の前年度・今年度における売上高や販売促進費・広告宣伝費、営業利益など
具体的にテレビCMの費用をどれほど削減したのか(広告宣伝費は8億8391万4000円から2億8125万5000円に減少している)公開されていない。また、売上減少がテレビCMの削減によるものか、景気後退や値上げ、販売促進企画の抑制によるものかは(それぞれの項目がどれくらいの影響を及ぼしているのか)明確な判断はできないが、少なくとも単年度においてはテレビCMの削減・適正化により利益拡大に向けた費用の効率化が図られた計算になる。
【モスバーガーの「迷走」とテレビコマーシャルの打ち切り検討と】や【トヨタ自動車がマスメディア広告費3割カットか】にもあるが、経費削減の対象として上場企業がテレビCMなどの大手メディアへの広告展開を抑える・打ち切る傾向が相次いで見受けられる。元々金額が大きいことが最大の理由だが、それと共に「効果が見え難い」「費用対効果が悪い・分かり難い」(言い換えれば「どんぶり勘定」)さらには「以前と比べて効果が薄れているように見える」のも少なからぬ理由として挙げられている。
今回サトウ食品が(詳細は不明とはいえ)、テレビCMの削減により「テレビCMの削減で影響があると思われる売上減以上に広告費削減の効果が出て、利益が増えた」とリリース上で明言したことは、サトウ食品自身はもちろん、同じように広告費の削減を検討している他の企業、そして広告出稿を受けるテレビ局側にも少なからぬインパクトを与えることだろう。
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