アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績など(2009年5月分データ)(下)
2009/06/07 09:26


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今回もデータ取得元は80年以上もの歴史を持つ自動車専門誌【WARD'Sの公式ウェブサイト】。こちらの【データベースページ】から最新の2009年5月分、さらには過去にさかのぼり、存在しうる2005年1月以降のデータを取得し、グラフ化した。……要は先月のグラフに5月分を足したもの。
まずはアメリカ製普通自動車(自動車カテゴリーから軽トラックや軽車両をのぞく)が、アメリカ国内でどれだけ売れているか。この「アメリカ製」にはアメリカ合衆国以外にメキシコ・カナダのも含む。

アメリカ国内産普通自動車の国内月間販売実績(国内産=アメリカ・メキシコ・カナダ)
直近データは2009年分のため、2009年のものを分かりやすいように赤で着色していることに注意して欲しい(2008年は赤系統のオレンジにした)。2008年の下半期から売上が落ち込んでいることは前回の記事でも記述したとおりだが、赤い棒グラフで示された2009年分はその落ち込み具合が継続しているのが分かる。また5月は奇しくも売上が急激に落ち込みはじめたスタート月である2008年6月の直前の月であり、前年同月比の比率が大きく落ち込む理由の一端が確認できる。つまり2009年6月以降は「下落傾向の最中における前年同月と比べた値」となるから、これまでのような30%減、40%減というひどい有様にはならない……はず(減少していること自体はほぼ確実だが)。
また、この数年(2007年以降)は4月に売上が落ち、その分を5月で盛り返している動きが確認できる。2006年以前にはそのような傾向が見られないので、何らかの販売方針や戦略に変化があったのだろう。今年もその傾向を踏襲しており、5月は4月よりも販売台数そのものは増加している。
自動車の販売には機種毎の流行りすたりや車種転換、(韓国メーカーの「自動車返却プログラム」のような)各社のセールスプロモーション、その他の要因(税制の変更やガソリン価格の上下、災害などによる経済的な余力の突発的変動、レンタカー業者の引き取り動向)が大きく影響する。また、季節・月ごとでも売れ行きは違ってくる。そのため、前年・前々年比が多少ずれ込むことはあるし、単純な前月比との比較はあまり意味が無い。
そこで「前年同月比」を算出し(元データが5年分なので「前年」比は4年分しか出せない)、その変化を折れ線グラフにしたのが次の図。直上で述べた「2008年の下半期から売上が落ち込んでいる」ことが改めて、しかもはっきりと確認できる。

アメリカ国内産普通自動車の国内月間販売実績前年同月比推移

その後、原油価格=ガソリン価格は下落の一途をたどっているが、景気の悪化・ローンの借り入れの困難化など他の条件は悪くなりこそすれど改善化の兆しは見られず、消費者から自動車購入を遠ざけている結果となった。2009年頭で下落率の増加加速にはひとまずストップがかかり、ややリバウンドを見せているが、クライスラーが4月末日に破たんし同社の自動車の販売が急速に落ち込み、GMにも同様の不安が広まったためか、再び下落傾向を見せている。ただし前述したように、2008年6月以降は販売数そのものが大きく減少しているため、「前年同月比」では持ち直しを見せることが予想される。それでも前年同月比がマイナスならば、販売数そのものは落ちていることに注意する必要がある(前年同月比のグラフが上向きになったとしても)。
販売台数シェアでもかなりの割合を占めるGMの破たんで、アメリカ自動車市場はどのような変移を見せるのか。そして下落傾向を見せてから1年が経過したことで「前年同月比」はどのように動くのか。6月分以降のデータも気になるところだ。
※追伸:
ホンダの販売率が顕著な下げを見せたのは、販売奨励金を下げたのが一因のようです。【ブルームバーグ】より以下抜粋。
ホンダの北條陽一取締役は14日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューに対し、米国のインセンティブについて「前年度は1台当たり1200ドル。今年度は減らして1000ドルくらい」との見通しを示した。米国のインセンティブは前年度まで上昇を続け、過去5年間で3倍強に拡大したという。
まさに「現金」なお話のようで。
■一連の記事:
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績など(2009年5月分データ)(上)】
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績など(2009年5月分データ)(下)】
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