市場変化で「預貯金」への関心高まる・FXなど外貨建て金融商品は敬遠の方向へ
2009/06/03 12:00
【野村證券(8604)】の金融経済研究所は6月2日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2009年5月計測分、PDF】)。それによると、現時点で調査母体の投資家たちがもっとも関心を持っている金融商品は「国内株式」で4割近くを占めていた。次いで「定期性預貯金」がついており、昨年同じ条件下で行われた結果「FX(外国為替証拠金取引)」などと比べると、「低リスク性金融商品への回帰」「外貨建て金融商品の敬遠」傾向などが見受けられる。
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今調査は1000件を対象に2009年5月20日から21日に行われたもので、男女比は72.7対27.3。年齢層は40歳代がもっとも多く33.0%、ついで50歳代が22.4%、30歳代が23.0%など。金融資産額は1000万円-3000万円がもっとも多く25.0%、500万-1000万円以下が20.3%、200万円-500万円が17.2%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く32.3%を占めている。次いで5年以上が24.3%、1年から2年未満が16.7%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く48.7%と過半数を占めている。ついで配当や株主優待が28.6%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めている。なお今調査項目では複数回答(最大3つまで)で答えてもらっている。
2009年5月分のデータによれば、もっとも関心が集まっている金融商品は「国内株式」となった。もっともこれは調査対象が株式投資の経験者であるところに起因する部分が大きい。
現在関心を持っている金融商品(3つまでの複数回答、2008年5月・2009年5月分の回答の並列表記、2009年分の上位十位分まで)
「国内株式」を選んだ理由として「なじみがある」を選んだ人がもっとも多いことから、(調査母体においては)個人投資家の身近な金融商品は「国内株式」であることが推測できる。
これを昨年からの変移の視点で見ると、昨年5位だった「定期性預貯金」が1.2ポイント増しの7.8ポイントとなり2位に上昇している他、「REIT(リート)」も1.6ポイント増しで10位圏外から10位に顔を見せているなど、低リスク・国内金融商品が評価を高めている。
他方、「FX」は2位から5位に大きく順位を下げたほか、「外貨預金」は3位から4位、「海外株式」も4位から7位へと順位を下げるなど、リスクの高い金融商品・外貨建て金融商品への評価は下がり、関心は薄れているように見える。これはひとえにこの1年間でリスクの高い商品群の「リスク」が実現化し、大きな痛手を受けたのが原因。つねにリスクが体現化するわけではないが(それはリスクではなく単なる「損をする金融商品」である)、目の前で起きると「また再び起きるのでは」という警戒感が前面に出てしまうものだ。
今後金融市場の状況が再び好転しても、しばらくはこのような「安全志向」中心の投資傾向は続くものと思われる。リスクの高い金融商品を取り扱う関係者には、辛い時代がもうしばらく続くのだろう。
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