色えんぴつが作り出す幻想的な世界
2009/06/01 06:53
身近にある品々も、イメージと発想、そして才能によって、あっという間に芸術的な作品に生まれ変わることができる。ぱっと見は「ものスゴい!」という美術作品も、良く目を凝らして見て、普段どこででも見かけることの出来るモノの集合体であることが分かると、二度驚かせられるものだ。【ODDEE】で紹介された、南アフリカ生まれ・アメリカのマサチューセッツ在住のJennifer Maestre嬢が世に送り出す作品もまさにその「日常の組み合わせで非日常を創生する」代表的なもので、彼女は「色鉛筆」をその素材とすることで知られている(公式ページ)。
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Aurora
彼女の作品は、色えんぴつを短く切り分け、それぞれの先端を削り、色の「とげとげ」からなるパーツを生成し、それを大量に(穴を開けてビーズのように)結びつけることで作られる。まるでウニやハリネズミのような造形物は、何か特定の実在物を表現したものではなく、インスピレーションをそのまま具象化したアートワークなのだという。各作品の名前もAurora(オーロラ)やSeethe(沸騰)など、イメージ的な名前のものが多い。
Asteridae。ヒトデのような、とでも訳すのだろうか。
また、色えんぴつも一色ですべて同じわけではなく、良く見ると微妙に色を違えて配してあるのが分かる。芯や外壁の部分の色を少しずつ変えることで、作品そのもののグラデーションを演出しているわけだ。
Imp。直訳すると「小鬼」。
Seethe(沸騰)。イメージ的な形?
今回挙げた4点もあわせ、公式サイトには19点の作品が展示されている。サイズはそれなりに大きく、Auroraならば18×43×43センチほど。上記4作品はまだ造形的に何となく分かるもので、公式サイトには正直「モンスターか異世界の生物じゃないのか?」というような形のモノもいくつか見受けられる。
ただ、目を凝らしてみるとその色彩やトゲトゲのビジュアルは、海底に身を潜める幾多もの海洋生物……たとえばイソギンチャクやサンゴのような……を想像させる。思い返してみれば「彼ら」もパッと見では地球外生物のように見えないこともない。
Jennifer Maestre嬢の目には何が映り、頭には何がイメージされ、これらの作品を世に送り出したのだろうか。それを考えながら作品を観ると、また違ったものが見えてくるかもしれない。
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