アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績など(2009年4月分データ)(上)
2009/05/31 16:01
昨年末に【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績など】を記事化してからほぼ半年が経過した。アメリカの一大産業である自動車産業の象徴ともいえる「ビッグ3」(GM、クライスラー、フォード)の救済問題についてはこの半年の間に大きな進展があり、【クライスラー、アメリカ連邦破産法第11条適用を申請へ・オバマ大統領発表】で伝えたようにクライスラーがいわゆる「チャプター11(アメリカ連邦破産法第11条)」の適用を申請し、事実上倒産。フォードは何とか事業を維持できそうではあるが、GMは6月にもクライスラーと同じくチャプター11の申請を行うのではないかと相次いで報じられている。今回は前記事から半年という区切りの良い期間が経過したこと、そしてGMの「状況」が動きそうなこともあり、前回同様に現時点で取得できる最新のデータ(2009年4月分)で、アメリカ国内における自動車産業の状況をグラフ化して斜め見してみることにする。
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まず今回は最新のデータである2009年4月分を元にした、アメリカ合衆国国内における普通自動車の販売実績。データ取得元は80年以上もの歴史を持つ自動車専門誌【WARD'Sの公式ウェブサイト】。こちらの【データベースページ】。から最新の2009年4月分を取得し、グラフ化した。
まずはアメリカ国内における「自動車」の販売実績。これには軽トラックや軽車両の類も含まれる。
2009年4月におけるアメリカ国内での自動車販売実績
あれだけ騒がれていてもなお「ビッグ3」が大きな販売実績を占めていること、トヨタやホンダが健闘していることが分かる。そしてアメリカ国内の自動車市場は、アメリカ製と日本製でほぼすべてのようにもみえる……あたりは半年前と変わらない。ただ、トヨタや日産が相対比で半年前と比べて落ち込んでいるようにも見える。
そのシェア比を分かりやすくしたのが次の図。2009年4月の販売実績をシェア比で円グラフにしたもの。
2009年4月時点のアメリカ国内における自動車販売実績シェア比
「ビッグ3」のシェア比は46.6%。半年前の48.2%から1.6ポイントほど減らしてはいるが、それでも半数近くであることに違いはない。また、日本製車両はあわせて38.3%で4割近く(前回比マイナス0.5ポイント。ホンダがややシェアを伸ばし、トヨタや日産が落としている)。あわせて8割強。
さて。
参照データには直近のものだけでなく前年同月のものも掲載されている。それを元に、昨年と比べてどれだけ売上が落ち込んでいるのかを示したのが、次の表とグラフ。
2008年4月と2009年4月のアメリカ国内における販売実績及び減少率
2009年4月における前年同月比減少率
正直、目も当てられないような状況であるのが分かる。前回のグラフと縦軸の長さを同じにしたところ、マイナス幅が突出しているおかげでグラフ全体の縦の長さがかなり伸びてしまった。また、三菱自動車・スズキ・イスズが比率では突出しているが、これはもともとの販売数が少ないための「ぶれ」によるもの。それ以外はほとんどのメーカーで30-40%減を記録しているのが分かる。唯一スバルが減少率を1ケタ台に留めているが、原因は不明。この傾向も前回と変わらず、原因も分からない。販売台数も約1万6000台/月とそれなりの数なので、単なるぶれとも思えないが。
また、前回のグラフと比較すると、韓国系の自動車メーカーの減少率が異様に低い(シェアも半年前の2.6%から4.2%にまで拡大している)。これは現代自動車が始めた自動車返却プログラムの成果によるもの。これは1年以内にローンで購入した顧客が失業をはじめ何らかの規定要因で支払いが困難になった場合、顧客のリスク無しに自動車を業者に返却できるというもの。さらに保険制度の適用で、販売価格とローンの差額を7500ドルまで補償する仕組みになっている(【参照:Iza】)。これが功を奏しているようだ。
ともあれ、これらのグラフでアメリカにおける自動車産業の「現状」は大体把握できるはずである。
■一連の記事:
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績など(2009年4月分データ)(上)】
【アメリカ自動車メーカー「ビッグ3」の最新販売実績など(2009年4月分データ)(下)】
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