【更新】主要新聞社サイトの読者数や読者年収など
2009/05/30 18:45
先日【Web担当Forum】内で記事として取り上げられ話題を呼んでいるGoogleのサービスがある。その名は【Google Ad Planner】。Google検索情報やGoogle Analysticsの情報、消費者パネルや市場調査のデータを総合し、指定したURLのサイト(現時点ではドメイン単位でサブドメインは未判別)のさまざまなデータを確認できるというものだ。広告出稿側が広告を載せたいサイトを吟味する際に使うものだが、一般の人でも自由に利用でき、調べる対象のサイトも大体のものがOK。出力データは「推測値」なので精度としては今ひとつ、という場合もあるが、概要を知るには十分すぎるもの。今回はこのサービスを使い、主要新聞社サイトの読者数を初めとした各種状況をグラフ化し、チェックしてみることにした。
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対象とした新聞社サイトは日経新聞・読売新聞・朝日新聞・毎日新聞、そしてiza(産経新聞)。本来なら産経新聞は同社の公式サイトを選択すべきなのだが、URLが「http://sankei.jp.msn.com/」でサブドメインを利用しているため、「msn.com」として判断してしまうため今回は兄弟サイトのizaを対象とした。
これらサイトを運営する新聞社自身にとっても、読者層や読者数は非常に気になる値に他ならない。ページビューやユニークユーザー数はそのまま紙媒体の新聞の購読者数と同じくらいの重み(影響力・権威など)があるし、出稿する広告の多少にも影響する。年齢階層や読者の年収は、サイトの質や記事内容などにも影響を与えるだろう。そして読者の側にしてみても、それぞれの新聞社サイトの立ち位置を知ることができ、非常に興味深い。
それではまず最初にユニークユーザー数とPV(ページビュー数)。言及無き限り、(現時点で取得できる最新データの)2009年3月のデータのもの。また、国内のみのデータを使っている。
推定ユニークユーザーとページビュー(単位・万/2009年3月)
ページビュー数は日経が一番多く、読売・朝日・毎日・izaと続く。しかしユニークユーザー(読者数)は毎日が一番多く、日経が一番少ない。これは日経の読者がちょくちょく来訪したり、一度来訪した際にあちこちのページをじっくりと吟味することを意味する。
それを裏付けるのが、月あたりの平均来訪回数と1来訪あたりの滞在時間。
来訪回数(月あたり)
滞在時間(分)
日経が他新聞社サイトと比べて読者の来訪回数が多く、滞在時間も長いことが改めて確認できる。
このあたりのデータなら普通のアクセス解析サービスでも取得できるのだが(もちろんサイト運営者側にしか閲覧できず、通常は公開されない)、今サービスが際立っているのは読者の年収や年齢層までが分かること。各種データから導き出した推定値ではあるが、参考になることに違いはない。
読者推定学歴
ひとめで分かるのは、日経の読者学歴が他社のと比べて高学歴であること。大卒の割合が唯一60%を超えている。また、教育関係者が多いからか、朝日も比較的学歴が高めなのも見てとれる。
読者の年齢階層では各社ともさほど違いはなかった。
読者推定年齢階層
どのサイトも最多階層は35-44歳。これと45-54歳をあわせた、35-54歳という中堅層が過半数を占めている。ただ、日経の年齢階層では他社よりも45歳以上の割合が多く、やや高齢気味な気もする。
最後に、ある意味もっとも気になる「読者の推定年収」。区分が細かくてやや分かり難いため、いつものごとく各区分毎に中央値で掛けて半ば無理やりに算出した平均値のグラフも併記する。
読者推定年収(2009年3月、万円)
中央値から概算した各読者の平均年収(万円)
年齢階層も、やや高めで学歴も高いように見える日経読者の年収が、予想通り一番高い。意外なのはizaがそれに続いていること。公開データが1桁の値までなので、小数点以下が反映されていないため、その誤差が影響しているのかもしれない。しかし年齢階層別グラフを見ると、1000-1200万円・1600万円以上の高所得層で比率が高く、あながち誤差で片付けるわけにもいかないようだ。
ちなみに2007年における平均所得は556万2000円、中央値は448万円(【前年比-1.9%の556万2000円・6割以上が平均所得以下……2007年の平均所得額発表】)。それと比べても全体的に高めに見えるが、これもまた高所得者層における割合が下一桁までしか掲載されていないための誤差が蓄積したのが一因だろう。とはいえ、サイト同士の比較にはさほど問題はない。
全体的には日経の読者性向がほぼイメージ通りだったことや、毎日が「来訪者は多いが複数のページを渡り歩くことはあまり無い」などが確認出来たことだけでも収穫といえる。今回のデータは各種新聞社サイトの立ち位置を再認識すると共に、今後他サイトのデータについて検証する際にも比較対照データとして役立つことだろう。
最後に気になったことを一つ。今サービスでは日々のユニークユーザーの推移をグラフ化して知ることもできるのだが、その値を見ると日経・読売・朝日の三社とも漸減していることが分かる。
日経のユニークユーザーの推移
毎日とizaはドメイン以降の関係もあり、表示されている範囲内では横ばいの状況だが、三社の中では特に朝日の下落ぶりが著しい。法人格ニュースサイト数の増加による読者の分散化か、あるいは【日経・朝日・読売による「ANY連合」正式発表、販売事業分野でも業務提携】などで指摘されているように、ポータル系サイトの「ニュースダイジェスト」ページにお客を奪われているのかもしれない。
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