書籍やコミックのレンタル率は1割未満
2009/05/10 09:20
マイボイスコムは2009年4月23日までに、CD・DVDや書籍、コミックなどのレンタルに関する調査結果を調査結果を発表した。それによると、レンタルの経験率は8割強に達し、その多くはCDやDVDを対象としていることが分かった。一方でコミックや書籍などの紙媒体のレンタルもちまたでは見受けられるようになったが、普及率は1割未満と、まだ低いとの結果も出ている(【発表リリース】)。
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今調査は2009年4月1日から4月5日までの間にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万5426人。男女比は46対54で、年齢階層比は30代35%・40代29%・50歳以上19%など。
【CDレンタル店舗減少の理由を仕切り直してみる】にもあるように、最近では大型化・複数メディア対応となりつつあるレンタルショップだが、基本は映像にせよ音楽にせよ、動体メディアが前提だった。しかし【貸本1冊あたりの著作権料は265円から、レンタルコミックの著作権料支払い制度12月1日スタート】にもあるように、最近ではその「複合化」の中に静体メディアである書籍・コミックも含まれつつある。今ではあまり姿を見かけなくなった「貸し本屋」も、レンタルショップの一要素として復活を果たしつつあるというわけだ。
今回の調査によると、媒体を問わずレンタルショップをこれまでに利用した経験があるか、との問いには83.9%が「はい」と答えている。それでは実際に、どのようなものをレンタルしたことがあるのか。もっとも多いのはCDで(利用経験者のうち)82.4%だった。
どのようなものをレンタルしたことがありますか?
注意してほしいのは、この回答が直近1年間や最近ではなく、「これまでに」であること。今や映像系レンタルはDVDが主流で、ビデオはあまり見受けられなくなったが、DVDが普及する前は「レンタル=ビデオとCD」であり、それらもカウントしている。それでもCDはともかくDVDがビデオを上回っているあたり、ビデオテープの時代は過ぎ去りつつあることを改めて実感させてくれる。
一方、紙メディアであるコミックや書籍はそれぞれ8.8%・2.5%と極めて低い値を示している。元々DVDやCD、ビデオなどと比べて単価が安く、直接購入するハードルが低いのが要因だろう。もっとも最近ではコミックの単価も上昇する傾向にあり、一定度を超えるようなことにでもなれば、今後需要が増える可能性はある。
レンタカーにしても貸衣装にしても(そう、賃貸住宅・マンションだって同じだ)、「利用する時間や頻度」と「販売価格」を比較し、割が合わないという結論に達するからこそ、「借り物」で済まそうとする。DVDやCDの場合もまた、「買うほどのものではない」(何度も見聞きする、保存しておきたいなど、購入のための対価を支払うほどの価値は見出せない)けれども視聴したいから、レンタルを使うことになる。購入より低いハードルで視聴できる気軽さが、レンタルの強みなのだろう。
書籍やコミックの場合は、元々価格が安くハードルが低い。貸本屋やレンタルショップの場合には「豊富な在庫」もメリットの一つだが、今ではネット通販で(手数料や「すぐに目を通せる」即時性を考慮しなければ)在庫を気にせず手に入れることができる。メリットとしては実店舗共通の「ウィンドウショッピングが出来る」ことくらいだろうか。
ちなみに、上記グラフを「利用経験者」ではなく「調査母体全体」で算出しなおしたのが次の図。
どのようなものをレンタルしたことがありますか?(調査母体全体比)
CDやDVDのレンタル経験率は全体の7割。コミックは13人に1人、書籍になると50人に1人という計算になる。やはり書籍やコミックのレンタルは、何か工夫をしないと(例えばシリーズものセットで貸し出しを行うとか、「新作ビデオとその原作本」のように他メディアとの連携プレーでのレンタル)ビジネスとしては難しいのかもしれない。
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