【更新】禁煙すると太る原因は遺伝子「AZGP1」にあり!?
2009/05/08 04:45
[Forbes]が2009年5月6日に伝えるところによれば、たばこを吸う人が吸わない人に比べて体重過多な人が少なく、体脂肪も少ない原因を解明してくれるかもしれない遺伝子が、アメリカの研究者グループによって発見された。その遺伝子は「AZGP1(alpha2-zinc-glycoprotein1)」というもので、テストの結果では喫煙者の方が非喫煙者よりもAZGP1の活性率が高いことを示していた。
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この調査では55人の喫煙者・37人の非喫煙者(両者とも健康体)に対し、いくつかのテストを実施。するとすべてのテストにおいて、喫煙者の方がAZGP1の方が活性化していることが分かったという。このAZGP1は脂肪を燃焼(分解)させる効果があることが動物実験で明らかにされており、それが「喫煙者の方が体脂肪が少ない傾向」をもたらしたのではないかと、【ニューヨークにあるCornell大学Weill医学部】のスタッフは語っている。
調査結果の表の一つ。喫煙者(Smokers)の方が非喫煙者(Nonsmokers)よりも活性率が高い
今研究ではあくまでも相関関係しか判明せず、因果関係(たばこを吸うとやせる)までは分からなかった。つまり、喫煙でAZGP1が活性化したとしても、それが直接減量に結びつく科学的な裏づけは得られなかった(加えていえばサンプリング数が少なく、データのぶれも想定される)。しかし研究者らはこのAZGP1が「喫煙者の体重減を説明する要素の一つ」の可能性を示唆していると語っている。
一般の経験則からすると、「喫煙しているからやせる」というよりは「禁煙をすると太る」傾向がある。むしろ今回のAZGP1の効用は「活性化するとやせる」のではなく、「活性化しない(喫煙を止める)と太る」に、より深い結びつきがあるのかもしれない。
もちろんこの研究結果に対し「禁煙すると食が進むから、それが肥満化の原因。脂肪燃焼を手助けするAZGP1の沈静化は、あまり関係がないのでは」とする意見や、「喫煙すると肥満によるリスクは減るかもしれない。しかしそれ以上に(がんなどの)健康リスクが増大することもまた事実」との意見もある。
なお今回対象となった研究論文の原文は【こちら(Cigarette Smoking Induces Overexpression of a Fat Depleting Gene AZGP1 in the Human Airway Epithelium:英語)】。今年の2月に発表された論文の内容が、今になってなぜ報じられたのかは少々不思議。それはともかくとして、主旨としては「たばこを吸うと、脂肪を燃焼させる遺伝子AZGP1を過剰に発現させる」というもの。素人考えでは「AZGP1の活性化で脂肪燃焼がうながされてやせる傾向があるのなら、喫煙以外の方法でそれが出来ないか」を模索した方がよいような気もするのだが、どうだろうか。
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