消費者金融のテレビCM、「好感ナシ」が過半数・「見ていない」も1割強に
2009/05/08 04:35
マイボイスコムは2009年4月23日までに、個人向けローン(消費者金融、または消費者金融会社と銀行による共同会社でのローンなど)に関する調査結果を発表した。それによると、直近2-3か月の間に個人向けローンのテレビCMを見た人にとって、もっとも好感度の高いものは「アイフル」と「モビット」だった。一方、テレビCMを見ても「好感を持ったものはない」との回答が過半数を占めており、数年前のイメージとはずいぶん違った印象を受ける結果が出ている(【発表リリース】)。
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今調査は2009年4月1日から4月5日までの間にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1万5482人。男女比は46対54で、年齢階層比は30代35%・40代30%・50歳以上18%など。
かつて消費者金融のテレビCMは多彩なイメージ戦略を展開。4、5年ほど前までは【くぅーちゃんCMのアイフル(8515)、テレビCM好感度で第一位なれど授賞を辞退】にもあるように、多くの人から好感されるようなテレビCMを提供していた(ダンスチームの踊りや可愛い子犬のテレビCMをご記憶の方も多いはず)。しかし多重者債務問題が社会的に大きく取り上げられるにつれ、「テレビCMのイメージと実際のギャップが多重債務者を生み出す」などの非難も受け(【テレビCMの影響力が再認識、多重債務者の4割「きっかけはテレビCM」】)、個人向けローンのテレビCMは自粛傾向に。政治的要請なとも経てローンの金利が利息制限法に一本化されたあとは、イメージ戦略的なテレビCMの自粛が継続化すると共に、個人向けローン会社の経営そのものが悪化し、テレビCM出稿も大きくその数を減らすこととなった。
現在の個人向けローンのテレビCMは金利そのものの安さの他、「計画的に利用しよう」という啓蒙的なイメージが強く、かつてのきらびやかさは見受けられない。それらのテレビCMをここ2-3か月の間に見たことがあるか、見た場合にはどのCMに好感を持ったかについて尋ねたところ、もっとも多くの好感票を集めたのは「アイフル」と「モビット」だった。
好感を持っている個人向けローンのテレビCM(ここ2-3か月の間)
しかしトップの「アイフル」と「モビット」ですら6.0%でしかなく、「好感を持ったものはない」の回答が54.8%と過半数を占めている。CM内容の戦略が変わったから、というのもあるのだろうが、凋落振りが著しい。さらに「見ていない」人も14.7%に達しており、個人向けローンのテレビCM自身が減少傾向にあることを示唆している。
ちなみにマイボイスコムでは2003年以降毎年(2005年は欠け)同様のアンケートを行っている。「好感を持ったものはない」など一部選択肢に差異があるが、主要企業について推移をグラフ化すると次のようになる。
個人向けローンテレビCMでもっとも好感を持ったもの
多重債務やグレーゾーン問題が社会問題化した2005年あたりから各社とも大きく好感度が下がり、一方で「いずれのCMにも好感を持たない」人が増えていることが分かる。2009年にはやや「好感ナシ」の割合が減っているものの、「見ていない」項目が追加されており、これを仮に足して計算すると、やはり昨年より増加する傾向にある。
この好感度減少は、テレビCMの内容によるものというよりは、個人向けローンそのものに対する好感度の低下が主要因である可能性が高い。そして好感度が高まりそうなテレビCMを作ろうとしても「ローンの実状に反する」との非難や自主規制のハードルがあり、かなわないのが現状。これらを考慮すると、ここしばらくは、個人向けローンのテレビCMの勢力縮小傾向は継続するものと見て良いだろう。
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