アメリカでは閲覧者数トップ5に入ったYouTube、でも利益は……!?

2009/04/24 04:45

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今や動画共有サイトのディファクト・スタンダード的な立ち位置を確保し、公的機関や法人のチャンネルも続々開設、高画質の配信も可能とすることでさらなる飛躍が望めるYouTube。これだけワールドワイドな人気を得ているのだからさぞかし大きな利益をあげているのだろう……と思ったら、意外にもそうでないとの話が【eMarketer】に掲載されていた。



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2009年2月における、アメリカのインターネット利用者数(自宅と仕事場双方。Unique visitors=個別訪問者、×1000人。Time per Person=1人あたりの利用時間)
2009年2月における、アメリカのインターネット利用者数(自宅と仕事場双方。Unique visitors=個別訪問者、×1000人。Time per Person=1人あたりの利用時間)

表はニールセンオンラインのデータを元にeMarketerが製作した、2009年2月におけるアメリカでのブランド別ネットサービス利用率ランキング。グーグルやヤフー、MSNやマイクロソフトなどに並び、第5位にYouTubeが入っているのが分かる。このデータを見ると、8300万人強の人が2月だけで利用したことになる。

また、他の調査機関によれば「アメリカのネット上の動画の41%はYouTubeによるもの(2009年2月)で、全世界では3.75億人ものユニークユーザーが閲覧した」などのデータもある。

ところが一方で、YouTubeが上げている売上は(この視聴者数にしては)期待したほどではないようだ。各市場関係者の見積もりも掲載されているが、それによると、

Jefferies & Co., 2009年:5億ドル
Bear Stearns, 2008年:9000万ドル
Screen Digest, 2009年:1.2億ドル
Forbes, 2009年:3.5億ドル
Morgan Stanley, 2008年:7500万ドルから1.89億ドル
Credit Suisse, 2009年:2.4億ドル

と多少ばらつきがあるものの、年間数億ドル程度に留まっている。一方で機材や回線調達、ランニングコストなどいわゆる「経費」は2009年には7億ドルをゆうに超えるのでは、との観測もあるほど(特に回線費用に経費全体の87%が費やされている、らしい)で、そろばん勘定的には完全な赤字。

あるアナリストはこのような状況を受けて、「広告機能の拡大・改良化と有効性の強化」「広告出稿価値のある動画の増強」などで、広告媒体としての利用価値を高めることこそが、YouTubeの課題であり目標であると分析している。

「集客性はどんどん高まっているがビジネスモデルとしてはまだ構築途中の段階」については、2009年2月23日に行われたYouTubeに関する定例記者説明会で解説されている。詳しくは【INTERNET Watch】で語られているが、「著作権管理の厳密化」「パートナーとなる企業のメリットを明確化する仕組みの提供」(【角川グループHD(9477)】の事例を紹介)などを模索しているとのこと。



まずはコンテンツボリュームとスケールメリットを築き上げ、唯一無二のインフラサービスを確保。そしてゆっくりと後から、そして津波のように収益がやってくるのを待ち構えるというスタイルは、まるでかつてのアマゾンドットコムのようでもある。ご存知のようにアマゾンも1995年の創業以来2002年中に初の黒字転換を果たすまでは、毎年のように「いつ破たんするか」「赤字がどこまで積み増しされるのか」という話ばかりが語られ、実際に業績もそれらの心配を肯定するものばかりだった(2003年に初の黒字に転換し、1株あたり0.08ドルの利益をあげている。ちなみに黒字転換直前の2002年は0.39ドルの赤字、そして直近の2008年は1.49ドルの黒字を計上している)。

YouTubeは今現在においては、まいた種が芽を出し、成長している過程にあるのだろう(それにしては大きな芽だが)。果実をつけるのがいつになるのかはまだ見えてこないが、その時にはきっと大きな果実を毎年のように実らせる、立派な樹木に成長しているに違いない。



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