「何これスゴい」と誰もが目を向ける広告たち
2009/04/20 08:05
コンピュータグラフィックの技術が飛躍的に進歩したおかげで、映像の世界では現実と作り物の区別がつかないほどの「合成された、現実にはありえない世界」を堪能することができるようになった。しかしそれでもなお、目の前で「ホンモノの造形物で作られた」ありえない世界を見せられると思わず目を向け、注目してしまうものだ。「とにかくまずは注目してもらわねばならない」広告出稿側としては、この行動様式に注目しないわけは無く、いかに強烈に(もちろん不当な方法ではなく)自社商品を見てもらうかを、広告の奇抜さで競うことになる。この辺の話は【TOXEL.COM】などが長けているのだが、今回は【Mail Online】で行われていた特集から、当方が「これはぜひ一度、実物を見てみたい」「確かにこれは驚くな」と強烈なインパクトを受けたものを紹介していくことにする。
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こ、こぼれる-ッ
カナダのCoop's Paintによる広告。真ん中の横断幕に描かれている黄色い塗料がこぼれ、隣の広告やビルの壁、そして下の自動車にまで色がついてしまっているのが分かる。【別サイトの紹介記事】では2枚目のように、塗られた車の配置が違っているので、全部黄色に塗られた3台の車を移動させて、自然さを演出しているのかもしれない。
二つ目はドイツの求人関連の会社が展開している広告。
中の人などいな……いるじゃん!
キャッチコピーに「人生は間違った職について時間を費やすにはあまりにも短すぎる(Life's too short for the wrong job.)」とあるように、適切な仕事を見つけようというアピールのための広告。色々な自動販売機に「中の人」を描き、「こんな職でいいの?」と訴えかけている。単純明快で分かりやすく、クリエイティブな作品。子どもが見ても喜びそうだ(一部は泣き出しそうだが)(【もっと詳しい記事はこちら】)。
イギリスの大衆車、ミニクーパーの広告はちょっとシャレている(※現在はドイツのBMWグループの一部門)。
ミニクーパーと地下鉄入り口のあわせワザ広告
仕組みは簡単でミニクーパーの書き割りを地下鉄の入り口に貼り付けただけ。地下鉄利用者自身には何のインパクトも与えないが、横から様子を見ると、ミニクーパーに何人もの人が吸い込まれたり、吐き出されているように見える。「サイズは小さくともたくさんの人が乗り降り出来ますよ」というアピールをするためのもので、まさにアイディア賞。昔、ドリフターズのコントで、腰ぐらいまでの高さの壁の向こうで段々と中腰になっていき「エスカレーター」に見せるものがあったが、発想的にはそれをまったく逆にしたもの。
最後に紹介するのは、これもやはりアイディア賞ものの広告。ドイツのハンブルグ港で船に対して行われた、パスタの会社Mondo Pastaの広告。
牽引用ロープをパスタに見立てた広告
キャッチコピーは「もう離せない(you can't let go、「我慢できない」という意訳もアリ?)」。長さ2メートル幅1.5メートルほどのラベルシールを船の牽引ロープを出す穴の部分に貼り付けただけの話。ロープを使って港に係留されているところは、まるでパスタをずっと食べ続けている人に見えてしまうというシロモノ。「この発想は無かったわ」と感心することしきり。
元記事には他にも、海底都市の上で泳いでいるかのようなプール、髪の毛のように見える電線、腰を抜かすかもしれないマンホールなど、奇抜でインパクトのある広告が紹介されている。機会があれば、ぜひチェックしてみてほしい。
今回取り上げた4点は、最初のペンキを除けばいずれも簡単な素材の追加で「なるほど」という印象を与えてくれる、いわば「アイディアの勝利」的な傾向が強い。広告規制が障壁となっているのだろうが、日本でもこのような、見つけてハッとし、そして何となく嬉しく・楽しくなるような広告が沢山登場することを願いたいものだ。
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