新社会人が会社に求めたもの・「安全性」と「終身雇用」

2009/04/19 11:55

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就職イメージ資格方面から生涯学習をサポートするユーキャンは2009年4月16日、「2009年新社会人の意識調査」の結果を発表した。それによると、今年社会人になる人が就職活動をする際にもっとも優先した項目は、「安定性」だった。特に女性の回答数が多く、昨今の雇用情勢の不安定さを反映した数字といえる。また、「能力主義」「終身雇用」のいずれかを望むかという問いには7割以上が「終身雇用」を支持しており、こちらもまた守りの姿勢が強いことをうかがわせる(発表リリース、PDF)。



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今調査は2009年3月2日から10日の間、今年の4月に新社会人になる子どものいない独身男女(正社員、大学・大学院卒、公務員除く)に対しインターネット経由で行われたもので、有効回答数は400人。男女比は1対1。

4月から勤める会社に対しては、それまでの間に就職活動をして採用されるというプロセスを経ているわけだが、その際にどのような項目を優先したのか。「給与が良い」「近場だから」「将来性があるから」「社長のカリスマ性にあこがれて」など理由は多種多様だろうが、今調査で与えられた選択肢の中では「安定性」と答えた人がもっとも多く四人に一人ほどの割合となった。

就職活動の際、何を一番優先して会社を選んだか
就職活動の際、何を一番優先して会社を選んだか

「自分も会社も共に成長していきたい」「大きな会社の中で自分を磨き上げたい」「このリーダーにならついていける」などの積極性のある意見は比較的男性の方が多い。その一方、「安定性」や「立地」、「福利厚生」など実務的(会社の経営方針などとは直接関係の無い)項目は女性の方が票が多い結果が出ている。特に「安定性」は女性単独で見れば全女性内の3割近くに達しており、雇用情勢が特に女性には辛い昨今、「とにかく継続して雇用され続ける」ことが最優先課題であることが見えてくる。

まずは継続雇用、安定した雇用を求める思考は、求める雇用体制そのものにも見えてくる。「終身雇用と能力主義(非終身雇用)のいずれを望むか」という問いには、「終身雇用」が7割を超え、「能力主義」は3割にも満たなかった。

終身雇用と能力主義(非終身雇用)のいずれを望むか
終身雇用と能力主義(非終身雇用)のいずれを望むか

この設問に対しては男女の差異無く「終身雇用」を望む人が多く、「安定性」以外に「企業理念」「将来性」を強く望む傾向がある男性でも、雇用体制そのものは「終身雇用」を希望する傾向が強いことが分かる。



社会人に成り立ての新社会人であることから、ある程度のアグレッシブさは感じとれる。しかし同時に、世相そのものの厳しさを十分認識しているからか、「荒波にもまれて振り落とされないように」と考えていることもうかがいしれる。雇用そのものが不確かな昨今においては仕方ないのだろうが、活力そのものが低下してしまわないかという不安もある。

新入社員の採用は人員数の確保以外に、新しい活力を企業に取り入れる意味合いも強い(単なる戦力補充なら経験者の中途採用で良いからだ)。「単なる安定」を求める学生側と「共に伸びて全体に活力を与えたい」企業の思惑の食い違いが新社会人側で気がついたのならば、入社から出来るだけ早い時期に(考え方の)修正をしておく必要があるだろう。さもなくばギャップは少しずつ拡大し、無用なストレスを溜めてしまうに違いない。



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