麻生首相、新「三種の神器」を提唱
2009/04/11 09:00
麻生太郎首相は2009年4月9日、日本記者クラブでスピーチを行い、各種経済戦略と経済対策に対する発表を行った。その中で、20世紀後半における高度成長期を支えた「三種の神器」である「洗濯機・テレビ・冷蔵庫」になぞらえ、21世紀の低炭素社会において「太陽電池・電気自動車・省エネ家電」を「新三種の神器」として提唱、これらを普及させていく考えを明らかにした(【スピーチ議事録】【内閣府による関連資料】)。
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スピーチそのものは4月9日に行われ、内閣府から提示された関連資料は翌日4月10日に発表された。内容としては現在のいわゆる「経済危機」克服に対し、短期・長期の両面からどのような問題があり、どんな手を打つべきかがまとめられている。一部はすでに昨年から実施されているものであるが、今回の資料・方策はそれらを包括的にまとめ上げたもの。
その中でスピーチ本文にもあるように、基本的な経済戦略として「低炭素革命で世界をリード」「安心・元気な健康長寿社会」「日本の魅力の発揮」を提示、一番最初の「低炭素革命」の中で「新三種の神器」の太陽電池・電気自動車・省エネ家電を提唱している。
具体的にこれらを普及させるため、具体的には次のような対策を行う。
したエコ改修、デジタルテレビ、パソコン・校内LANなどのICT(Information and Communication Technology、情報通信技術のこと)環境の整備、耐震化を、3年間で集中的に進める(「スクール・ニューディール」構想)
・「電気自動車」……ハイブリッドカーなどの環境対応車を新車で購入した場合、今年4 月から導入した減税に加え、1台10万円を助成。さらに、13年を超えて使用している古い自動車をスクラップにし、一定の燃費基準を満たす新車に買い替えた場合、1台25万円を助成(財源3700億円)。
・「省エネ家電」……グリーン家電(省エネ型のエアコン、冷蔵庫、テレビ)の購入時に、購入価格の5%相当分のエコポイント(他の製品を購入できるポイント)を付与し、地デジ対応テレビについてはさらに5%上乗せ。
また、リサイクルの場合は、、3品目ともリサイクル料金相当分を上乗せ(財源2946億円)。
2007年夏のいわゆる「サブプライムローンショック」以降急激に進んだ資源価格の高騰は、基本的に資源輸入国である日本において、庶民生活や企業に多大なダメージを与えると共に、エネルギーや資源利用に対する認識の変化をもたらすインパクトにもなった。今回提示された「新三種の神器」も、元々推し進められていた技術や政策ではあるが、あらためて分かりやすい言葉「太陽光パネル、エコカー、省エネ家電」で提示されることにより、イメージ化がしやいく、理解しやすいものとなる。
かつての経済成長期における「三種の神器」は、個々の家庭の豊かさと日本そのものの経済・技術発展を象徴するものだった。「新三種の神器」もまた、経済の復活と技術革新、そして憧れの実現に向けたシンボルとなるのだろう。
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