「株主優待、あった方がいいネ」は7割近く
2009/04/05 09:35

【野村證券(8604)】の金融経済研究所は4月2日、個人投資家の投資動向に関するアンケート調査とその結果の分析報告レポートを発表した(【ノムラ個人投資家サーベイ・2009年2月計測分、PDF】)。それによると、調査母体の中では「株主優待」に期待している人の割合が7割近くに達していることが明らかになった。否定派は1割にも満たず、個人投資家の立場から見れば株主優待は「あった方が良い制度」という認識であることが分かる。また、具体的な優待内容としては「金券」がもっとも人気が高かったが、「自社製品・自社取扱品」への注目も少なくないことが見受けられる。
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今調査は1000件を対象に2009年3月20日から23日に行われたもので、男女比は70.7対29.3。年齢層は40歳代がもっとも多く35.4%、ついで30歳代が25.7%、50歳代が23.0%など。金融資産額は1000万円-3000万円がもっとも多く25.6%、200万円以下が21.2%、200万円-500万円が19.9%と続いている。1銘柄あたりの保有期間は2年から5年未満がもっとも多く34.4%を占めている。次いで5年以上が21.4%、1年から2年未満が15.8%。投資に対し重要視する点は、安定した利益成長がもっとも多く51.5%と過半数を占めている。ついで配当や株主優待が25.5%となっており、テクニカルや値動き、高い利益成長といった項目より安定感を求めている。なお調査母体においては、年齢層が比較的高めで、投資スタンスが中長期傾向にあることを念頭においておく必要がある。
【なぜ株主優待が嬉しいのか】にもあるように、株主優待とは株主に対して企業側が行う優待制度の一種。自社商品を提供して活動内容を知ってもらったり、サービスの割引きを行い自社の事業を知ってもらいやすくするなどの配慮を行う一方、単純に金券や地元の特産品などを提供して(配当とは別に)「長期安定株主としてのごほうび」的なものと位置づけている企業も少なくない。一方で「優待を出す余力があるのならその分を企業活動や配当にまわせ」という意見もよく耳にする(優待制度は大抵において、株主保有数と比例して内容がよくなるわけではないのがその大きな要因)。
さてそれでは、今回の調査における調査母体では株主優待制度に対する見方はどのようなものだろうか。「年齢層が比較的高めで、投資スタンスが中長期傾向」の今調査母体では、「株主優待制度はあった方が良い」とする派は67.2%と2/3にも達していた。

株主優待に対する考え方
意外なのは「ケースバイケース」の回答が3割近くにも達していること。すべての株主優待に対して「残しておいて欲しい」「拡充してほしい」というわけではなく、場合によっては「こんな優待制度ならさっさと廃止して、その分配当を増やして欲しい」という意見が少なからず存在しているという証なのだろう。
とはいえ、直接の否定派は4.3%。優待制度そのものへの考え方は、全体としてはポジティブと見なしてよさそうだ。
それでは具体的にはどのような優待制度が望まれているのだろうか。複数回答で尋ねたところ、言葉通り「現金な」ではないが、「金券(食事券、商品券、プリペイドカードなど)」がもっとも多くの同意票を確保していた。

期待する株主優待の内容
企業の事業内容に直接係わり合いのありそうな優待の中ではもっとも高得票だったのは「自社製品、自社取扱品」。とりわけ食品関連の企業では優待品も自社商品である場合が多く、送付タイミングによってはお歳暮・お中元を受け取る気分を味わうこともできる。また、金融系企業の優待制度に多いお米・お米券も人気アイテムの一種。
他方、中小の上場企業がよく行う「企業の地元の特産品」はそれほど人気が無いことが分かる。中には注目を集めている内容のものもあるが、「企業の事業内容と関連性が薄い、単なるごほうび的なものなら、下手にこだわらずに単純に金券にしてくれ」というのが本音なのかもしれない。
【優待速報】を確認している人ならお分かりいただけると思うが、景気後退・企業業績の悪化に伴い、優待制度の改悪・廃止を実施する企業が増加の一途をたどっている。新設・拡充する企業もあるが、廃止する企業はその数倍のペースで現れ、昨今では改廃ラッシュのような感がある。数年前の新設ブームとは大違いである。かくいう当方(不破)も、手持ち銘柄で2銘柄ほど「優待廃止」の直撃弾を食らっ「た」経験を持つ。一社は世界的な景気後退の波に飲み込まれての結果だから仕方ないにしても、もう一社は為替のヘッジに大失敗して会社を傾け、挙句の果てに今や事実上取引先にのっとられたような状態という体たらくをしでかしており、まさに「絶望した」としかいいようがない(すでにこの銘柄は売却済み)。
ともあれ。今後もしばらくは「優待制度の改悪・廃止」の傾向は強まるところだろう。優待制度をこよなく愛する人たちにとっては、辛い時期が続きそうだ。
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