愛犬も太ってくると成人病!? 肥満のリスクは大体2倍に

2009/03/30 07:25

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検査を行った成犬イメージ【花王(4452)】は2009年3月26日、ペットの体脂肪率測定と疾病に関する診察を実施し、肥満と疾病の関係を調査、その結果を発表した。それによると、体脂肪率35%以上の肥満状態にある成犬では、真菌性およびマラセチア性外耳道炎、膿皮症、跛行(はこう)にかかるリスクが正常状態にある成犬に比べて約2倍に高まることが明らかになった。花王ではこの結果から、「運動や食事管理などで成犬の肥満を予防することは、犬の一般的疾病を防ぐために重要である」と述べている(【発表リリース】)。



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今調査は多摩獣医臨床研究会所属の東北-鹿児島の22病院に来院した1歳以上の成犬を対象に、2007年4月から2008年3月までに来院した1歳以上の成犬4005頭を対象に行われたもの。疾病の発生に影響する他の因子として考えられる年齢、性別、犬種、不妊・去勢手術の有無を除外して解析するため、健康な成犬と疾病をもった成犬の中から、これらの因子をマッチさせた個体群を選択し、体脂肪率と疾病の関係について統計解析を行った。

すると、肥満状態にあると判断される体脂肪率35%以上の成犬と、通常状態にある30%未満の成犬との間には、それぞれの疾病において次のようなリスクの違いが生じていることが判明した。

体脂肪率(肥満の度合い)と疾病リスク
体脂肪率(肥満の度合い)と疾病リスク

・真菌性およびマラセチア性外耳道炎:
犬の耳あかで繁殖するカビの仲間や酵母菌マラセチアが異常繁殖して、起こる外耳道炎。

・膿皮症:
体の免疫力の低下や加齢などによって皮膚の抵抗力が落ちると、常在細菌が増加して皮膚が化膿する疾病。

・跛行(はこう):
正常に歩けず、脚を引きずって歩くような状態。股関節や筋肉の障害や外傷など、さまざまな原因がある。肥満に伴う体重増加の関節への負担原因も、懸念されている。

具体的には真菌性およびマラセチア性外耳道炎になるリスクが2.4倍、膿皮症では1.8倍、さらに跛行では2.5倍と、疾病にかかるリスクが高まることが見出された。

真菌性およびマラセチア性外耳道炎と膿皮症は、両者とも皮膚感染症であることから肥満に伴う感染免疫系の低下が示唆され、肥満との関係が推測されている。また跛行に関しては、肥満に伴う体重増加が関節への負担を大きくしていると考えられる。これらの結果かから、運動や食事管理などにより肥満を予防することは、これら成犬の一般的疾病を防ぐために重要と考えられるとのこと。

なお今回、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎においては有意な差は認められなかった。また、今回の調査で症例数が少ないため、統計的解析を行えなかった疾病の中には重篤な疾病、循環器疾患などの肥満との関係が示唆される疾病も多く、花王側では今後の検討が必要としている。さらに本調査は現在も継続して行っており、今後さらなるデータが検証・発表されるかもしれない。

現在ペットとしての犬は室内で飼育する場合も少なくなく、それに伴い運動量の低下や摂取エネルギーの増加による肥満傾向が指摘されていた。今回の調査結果からは、人間同様に成犬においても肥満はさまざまな疾病のリスク増加を導く可能性が示唆されている。やはり人間と同じように、成犬においてもダイエットは欠かせないのだろう。



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