「日米安保と自衛隊で日本の安全を」は7割強、年々増える傾向に
2009/03/21 10:05
内閣府は2009年3月16日、自衛隊・防衛問題に関する世論調査の結果を発表した。それによると、調査母体の中では日本の安全を守るための方法として「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊の双方で日本の安全を守る」という選択肢を選んだ人が8割近くに達し、多数意見を示していることが明らかになった。過去からの推移データを見ると、年々この意見が増加を見せ、現状維持派が増加する傾向を見せている。一方でこの数年間においては、「自衛隊だけで日本の安全を守る」という意見も少数ながら増加の兆しがあることも判明している(【発表リリース】)。
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今調査は2009年1月15日から25日までの間、層化2段無作為抽出法で選ばれた20歳以上の男女3000人に対し、調査員による個別面接聴取で行われたもの。有効回答数は1781人で、男女比は855対926。年齢階層比は男女ともに60代がもっとも多いのをはじめ、中堅-高齢者の回答がやや多い傾向が見られる。
現在において日本の安全(国防、軍事的な国の保安を中心とした「安全」)は、自衛隊と日米安全保障条約に基づいた安全保障体制の二本柱で守られている。この体制についてどう思うか、日本の安全を守るにはこれで良いのかについて、いくつかの選択肢の中から一つを選ぶという形でたずねたところ、もっとも多いのは冒頭でも触れたように「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊の双方で日本の安全を守る」という回答だった。
日本の安全を守るための方法(性別・年齢階層別)
男女別では関心度の違いからか女性の「分からない」という意見が多いのが目に留まる。また、年齢階層別では安保体制の維持に対する意見が中堅層でやや少なめなこと、高齢者で「分からない」が多いのが目立つ。後者は世界情勢の現状認識と、かつての戦争経験がクロスオーバーし、どのような判断を下せばよいのか、悩んでいるという実状が反映しているのだろう。
また、今調査について過去3年おきの結果を時系列でグラフ化したのが次の図。
日本の安全を守るための方法(時系列)
約40年の間に世界情勢も、そして周辺国家そのものも大きく変わり、軍事技術も相当の変化を見せた。それに伴い、今件のような「国の安全」に対する意識も少しずつ変化しているようだ。「現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊の双方で日本の安全を守る」が漸増し、40年間の間にほぼ倍増しているのが分かる。一方で「安保体制を破棄して自衛隊だけで安全を守る」という意見もこの10年ほどの間に、微少ながらも増加傾向にあることが分かる。
ちなみに「昭和40年代など調査データが残っている初期において、3選択肢の合計が少なすぎる。他にもっと多数の票を得た選択肢があったのでは?」という疑問がわいてくるが、例えば【昭和47年の調査結果】の場合、「その他」が1.1%、そして「わからない」が31.9%も占めているのが確認できる。どうすれば良いのか選択を決めかねる人たちが多かったが、それらの人たちが少しずつ他の選択肢に移行する傾向を見せている、と考えれば良いだろう。
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