【更新】ボーイング社、ステルス性などが向上したF-15 Silent Eagle(F-15SE)発表
2009/03/20 17:30
ボーイング社は2009年3月17日、戦闘機F-15の新バージョンである(実質的な)第五世代戦闘機「F-15SE(F-15 Silent Eagle)」を発表した。今後国際的に増加するであろう、コストパフォーマンスの高いステルス性戦闘機の需要に向けての改良型であるとボーイング社では説明している([発表リリース])。
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F-15SE(F-15 Silent Eagle)。写真で確認した限りでは複座型
リリースによるとF-15SE(F-15 Silent Eagle)は「多種多様な兵装の装備や費用対効果の高いステルス性など、(アメリカ)国外の顧客の需要にあわせたスペックで構成されたもの。バランス的に優れた戦闘機として仕上がっており、将来においても技術革新などによる改善を行える余地のある設計となっている」。F-15シリーズそのものは第四世代型戦闘機だが、設計改良やオプションの追加などで、実質的に第五世代戦闘機と同等のスペックに押し上げたとの説明だ(言い換えれば第4.5世代戦闘機、とでも表現できるのだろうか)。要は、F-22などのように政治的・技術的な問題で第五世代の新型戦闘機を輸入できない国に対する代替的な戦闘機とも表現できる。
F-15SE(F-15 Silent Eagle)兵装一覧
CFTにウェポンベイが内蔵されているのがよく分かる動画
特にステルス性においては、「コストパフォーマンスの高い」レベルのステルス性を実現するため、特殊コーティング、外側に向けた15度の傾斜が施された垂直尾翼、CFT(Conformal Fuel Tank、胴体に張り付くような形で設計された追加の燃料タンク・増槽)、ウェポンベイに内蔵の兵装など、機体の再設計が行われたと説明されている(写真を見ると、このCFTそのものにウェボンベイが内蔵されているようだ。またこの燃料タンクも含めたウェボンベイは脱着可能で、事実上ユニット化して着陸後に差し替えることで、2時間での再離陸準備ができるとのこと)。搭載可能な兵装はスマート爆弾(JDAM)、小型滑空爆弾(SDB)、短距離空対空ミサイルのサイドワインダー(AIM-9)、中距離空対空ミサイルのアムラーム(AIM-120)など、F-15シリーズの最新型で搭載できる兵装はすべて実装可能。
生存性においてもBAEシステムのDEWS(デジタル電子戦システム、Digital Electronic Warfare System)やレイセオンのアドバンスト電子走査アレイ(Raytheon Advanced Electronic Scanning Array)レーダーを搭載し、向上を図っている。
現在ボーイング社では、F-15SEの要ともいえるこのCFTのプロトタイプの設計を終えており、実際のミサイル発射を含めた飛行テストを2010年の第1四半期までに実施する予定だとしている。
【一部報道】によるとボーイング社では現在このF-15SEを現在F-15シリーズを導入している5か国(イスラエル、日本、シンガポール、サウジアラビア、韓国)に向けて190機生産する予定だとのこと(※予定であり、実際に各国からオーダーを受けたわけではない)。また、予定価格は予備部品やその他必要な諸経費を含め、1機あたり1億ドル(約95億円)を想定している。
なお航空自衛隊の次期主力戦闘機F-Xにおいて、F-15Eの改修型であるF-15FXがボーイング社から提案されているが、リリースなどにもまったくその言及が無く、外見・仕様も別物であることから、F-15SEはF-15FXとは別物であると思われる。また、ボーイング社からの正式なコメントではないが、日本に向けてのセールスも予定されていることから、今後F-Xの選考対象にこのF-15SEが加わることはほぼ確実になるだろう(ただし、いつ「完成するか」が問題だが……)。
(C)Boeing
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