「新聞って信頼できるよね」「正確だよね」はそれぞれ6割、ただし若者と高齢者の間には大きなギャップも

2009/03/19 19:45

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新聞イメージ財団法人新聞通信調査会は2009年3月6日、「メディアに関する全国世論調査」の結果を発表した。それによると、調査母体において新聞を「信頼できる」「情報が正確である」と判断した人は約6割に達していることが明らかになった。ただし年齢階層別で見ると若年層と高齢層との間で大きな見解の違いがあることが確認できる。またテレビ媒体においてはNHKと民放で大きな差異が見られ、特に今件2項目ではかなり低い値しか得られていないことが判明している(【発表リリース、PDF】)。



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今調査は2008年12月に住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって選ばれた18歳以上の男女個人3000人に対して専門調査員による訪問留置法で行われたもので、有効回答数は1906人。男女比は47.7対52.3で、男女比は30代以上が10歳ごとにほぼ均等割当、18-19歳と20代はやや少なめとなっている。(18-19歳が44人、20代220人など)。

今調査では新聞・NHKテレビ・民放テレビ・ラジオ・雑誌・インターネットといった新旧おりまぜたメディアについて「信頼できる」「情報が正確」「手軽に見聞きできる」「教養を高めるのに役立つ」「日常生活に役立つ」などいくつかのポジティブな意見に同意するかどうかを尋ね、その割合を集計している。そのうち、「新聞」「NHKテレビ」「民放テレビ」「インターネット」について、メディア・報道としては必要不可欠な要素である「信頼できる」「情報が正確」の項目を、性別・年齢階層別に抽出し、グラフ化したのが次の図。

「信頼できる」とした人の割合
「信頼できる」とした人の割合


「情報が正確である」とした人の割合
「情報が正確である」とした人の割合


・新聞への「信頼できる」「情報が正確」な割合は全体で約6割。
・NHKテレビと新聞は、歳を経るにつれて信頼度も情報の正確さへの期待も高まる傾向にある。ただし70代以上になると急速に新聞絡みの値が減少する。
・男女では男性の方が女性より、ややインターネットへの信頼度も情報の正確さへの期待も高い。
・民放テレビとインターネットは歳を経るに連れて、信頼度も情報の正確さへの期待も低くなる傾向に。
・インターネットは信頼度も情報の正確さへの期待も低い。特に高齢層になるとその値は極端なまでに低くなる。
・歳を経るにつれ、民放とNHKの格差は大きくなる。
・20代までの若年層と60代以降の高齢層との間では、NHKや新聞に対する「信頼度」や「情報の正確さへの期待」は1.5倍程度の違いが生じている。


同じテレビながらも
NHKと民放では
べつもの扱い
元々新聞やテレビなどの4大既存メディアは高齢者が好み、インターネットなどの新メディアは若年層が好む傾向がある。そして好き嫌いもそれにほぼ類するものと思われる。しかし民放とNHKとは(特に高齢者には)別物扱いされているようで、NHKが新聞と共に高齢者ほど「信頼できる」「情報が正確」の値が高まるのに、民放では下がる傾向が見られる。言い換えれば高齢者にとって民放は「同じテレビだがNHKとは別の、ちゃらちゃらとしたもので信頼できない。そして正確さでは物足りない」メディア扱いされていることが分かる。これが【テレビ視聴時間の推移をグラフ化してみる】【最近のテレビ番組高視聴率トップテンを表組化してみる】などの実測データにも現れている、民放離れの一因ではないかと思われる。

・若年層は新聞やNHKへもネットへも
それなりに信頼・正確さへの期待を
持っている。
・高齢者はネットへの信頼・正確さに
否定的で、その分を新聞などに
割り振っている。
また、同じ新聞やNHKメディアでも、若年層と高齢層との間に大きな違いが生じているのも気になるところだ。元々一人一人にはメディア全体で「信頼できる」「情報の正確さへの期待」などの合計値が定められており、それをいくつかのメディアに配分しているような感すらある。つまり若年層は「インターネットも新聞もある程度信じる」が、高齢者は「ネットへの割り振り分を新聞に上乗せして信じる」ようなところだ。どの年齢層でも「NHK」あるいは「新聞」と、「インターネット」の値を足すと、大体同じような数字に収まることがお分かりいただけただろうか。



若年層と高齢層の間における、新旧両メディアへの信頼・正確さへの思い入れの違いは、そのままそれぞれの媒体に対する「報道」などへの思い入れや信服度の違いとなって現れる。これが現在において大きなジェネレーションギャップを生み出す源の一つであることは疑いようもない。このような状況が良い事であるはずもなく、新聞やNHKなどは若年層の理解を深めるような努力を、インターネットは高齢者が受け入れられるような仕組み(「努力」が出来ないのは、インターネットというメディアは不特定多数の情報集合体であり、テレビや新聞のように特定少数から発せられるものではないからだ)の構築が求められるだろう。

もう一つ問題なのは民放テレビの立ち位置。NHKのように高齢者に信頼されているわけでもなく、中途半端な場所にある。思いっきり割り切って「信頼できる」「情報の正確さへの期待」の項目を必要としないバラエティ・エンタメに特化してしまうか(幸いにも「手軽に見聞きできる」項目はNHKのそれに近い)、NHKのような構成を行い「第二NHK」的なポジションを狙うか。前者はともかく後者は「二番煎じ」「スポンサーの問題」もあり、事実上不可能である。すると民放テレビには「総合エンターテインメント」の道しか残されていないような気もするのだが、どうだろうか。



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