未上場で有名な企業の業績……(3)日経新聞などの各新聞社

2009/03/13 04:55

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新聞イメージ先に【講談社・徳間書店・旺文社の業績】【文教堂HD(9978)】の第三者割当増資のリリース(【第三者割当による新株式発行に関するお知らせ、PDF】)をもとに、3出版会社の業績をグラフ化し、その後『会社四季報 未上場会社版』の最新版をもとに、気になる出版社について業績チェックを入れた。今回は「会社四季報-」のデータを用い、メジャーどころの新聞社の業績をグラフ化する。なお各種データは基本的に「会社四季報 未上場会社版」からのもので、各社が自ら公開したものではないため、後者についてはその確かさを検証する手立てが無い。実際のデータとは差異が生じている可能性があることをあらかじめ書き記しておく。また各種データが揃っていない(例えば売上高のみ)ものも掲載する。



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フジサンケイリビング社
現在はフジサンケイグループの一員。「リビング新聞」をはじめ、女性(主に主婦)向けの新聞を発行している。以前は産経新聞社の子会社だった。

フジサンケイリビング社(単位:億円/売上高のみ10億円)
フジサンケイリビング社(単位:億円/売上高のみ10億円)

売上が漸減しているが、それにも増して2007年3月期から利益が急減している。営業利益の時点で大きく下げを見せており、本業の新聞ビジネスで暗雲が立ち込めているようすが見て取れる。なお「四季報」では2008年9月期中間決算のデータも掲載されているが、それによると純利益の項目でマイナス、つまり最終赤字を計上している。

日本経済新聞社
日経新聞を柱に、各経済関連の新聞、専門誌などを発行。大手新聞社の中では唯一業績堅調である、と伝えられている。

日本経済新聞社(単位:億円/売上高のみ10億円)
日本経済新聞社(単位:億円/売上高のみ10億円)

他紙と比べて「売上高」と比べて各利益の棒の長さが長いことから、売上に対する利益率の良さが見て取れる。経常利益までは堅調に推移しているが、純利益でやや落ち込みを見せる。なお2008年6月期は一応最終黒字をキープしているものの、その額は59億円強で、単純計算で2倍にしても120億円となり、2008年12月期はさらに落ち込みを見せそうだ。

読売新聞東京本社
読売グループの中核。発行している「読売新聞」は世界最大の部数を誇る。世界各地に支局を持ち、文字通りワールドワイドな新聞社。

読売新聞東京本社(単位:億円/売上高のみ10億円)
読売新聞東京本社(単位:億円/売上高のみ10億円)

売上、各種利益共に漸減。2006年3月期に純利益が跳ね上がっているが、手持ち資料ではその理由は判別できず。子会社の売却などで特別利益が発生したものと思われる。なお後述するように、最新期の半期短信では営業利益の時点で赤字を計上しており、本業での利益確保が難しくなっているものと思われる。

毎日新聞社
1872年発行の日本でもっとも伝統のある新聞。ある意味、今もっともホットな新聞である「毎日新聞」を発行。発行部数は400万部。

毎日新聞社(単位:億円/売上高のみ10億円)
毎日新聞社(単位:億円/売上高のみ10億円)

詳細は別記事ですでに解説しているが、利益率が低い構造であるのが分かる。また、売上は漸減しているが、利益はほぼ横ばい。ただし直近のデータによれば、半期の時点ですでに赤字に転落しており、今後の推移が注目される。

中日新聞社
最後に、地方紙を代表して中日新聞社。名古屋に本拠地を構える、ブロック紙の最大手。各種新聞あわせて朝刊で345万部を発行。スポーツ紙の「中日スポーツ」などでも有名。

中日新聞社(単位:億円/売上高のみ10億円)
中日新聞社(単位:億円/売上高のみ10億円)

こちらは2005年・2006年期における営業利益のデータが欠けている。とはいえ、売上が漸減、利益が2006年3月期以降急速に落ち込んでいるのが分かる。また四季報データによると、直近四半期では営業利益の時点で赤が出ており、最終赤字を計上している。



以上5紙についてざっと業績をグラフ化したわけだが、一部新聞社については過去に公知されたデータを元に記事化しているので、そちらを参考にして欲しい(【半期が赤字に転落した産経新聞の最新版「おサイフ事情」をチェックしてみる】【朝日新聞の最新版「おサイフ事情」をチェックしてみる】【半期が赤字に転落した毎日新聞の最新版「おサイフ事情」をチェックしてみる】)。

今回の5紙に共通していえるのは、ここ数年で売上を落としており、それ以上の加速度で利益が減少していること。直近期の中期データが出ているものはコメント中でフォローしたが、多くが営業損失(本業の新聞発行の時点で赤字を計上)を出してしまっている。広告の減少と売上そのものの低迷という、収益の2本柱の双方が傾き、経営が難しくなっている様子がよく分かる。

唯一堅調そうに見える日経新聞も、元々の利益率が高く、下げ基調に余力があるがために黒字を維持できているようにも見える。今後新聞全体の影響力にさらなる動きがあれば、日経新聞ですら、今まで以上に対策が求められることになるだろう。


■関連記事:
【未上場で有名な企業の業績(1)文教堂リリースからの出版社 】
【未上場で有名な企業の業績(2)秋田書店やダイヤモンド社、文芸春秋など 】



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