ボランティア精神がアメリカ経済を救う……かも?
2009/03/10 12:00


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景気後退、そして景気刺激・投資予算の注入によって、ボランティア活動への応募は急増している。すでに活性化予算として2億ドルが計上されているが、議会ではさらなる支援策が検討されているほど。市民が参加してアメリカ国内の貧困問題の解決を手助けする(直接サービスを提供するのではなく、啓蒙的あるいは財源活動などの間接的な手伝いをする)【AmeriCorps】などを統括しているThe Corporation for National and Community Serviceの議長Alan Solomont氏は「非常に多くのボランティアへのニーズがある一方で、奉仕したいという欲求もまたアメリカ中に広まっています」とコメント。

オバマ大統領はこのプログラムのようなボランティア活動をアメリカ国内の公共サービスの充実のため、さらに拡大することを目指している。今年8億8900万ドルだった福祉事業関連予算を11億3000万ドルに増強することを提案。それがかなえばAmeriCorpsの人員も7万5000人から25万人へ大きく増強されることになる。
アメリカから発展途上国にボランティアを派遣する団体の【Peace Corps】でも、応募者数は16%上昇。不景気によってこのような団体に従事することが「自分のセールスポイントとなり、履歴書に光り輝く勲章を増やすことになる」と同団体のスポークスマンは語る。

行政管理予算局のPeter Orszag局長は語る。「アメリカは今、世界大恐慌以来の経済的困難におかれている。そしてこれまでにかつてないほど、地域と社会全体へのサービスに対し、より一層の献身が求められている」と。さらに上記法案の推進をしている上院のOrrin Hatch議員もコメントしている。「アメリカ国民の一人一人が、自主的にさまざまなことを自分の所属しているコミュニティで自ら行うようになれば、長い目で見れば政府が提供しなければならないことは減ってくる(。つまり、一時的に政府負担は増えるかもしれないが、最終的には政府の負担を減らすことにもなる)」と。
日本では元々税制上ボランティア活動があまり優遇されていないこと、教育機関や企業のボランティアへの配慮・評価が高くないこと、さらには税金面や政治活動面などでボランティア活動そのものを悪用する動きがあり、それを行政側も正す姿勢があまり見られないことから、アメリカほどボランティア活動が盛んではないし、国や地方自治体が積極的にAmeriCorpsのような団体を立ち上げたり支援することもそれほど大きくは見られない。
しかし先日の大震災の時の動きや、古くは江戸時代の飢饉のときの動きのように、ボランティアの精神が無いわけではない。文化や社会構造の違いなどを考えると、そのまま適用することは難しいが、アメリカの一連の動きは日本の行政や経済活性化のためにも、何らかのヒントになるのかもしれない。
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