「こんなに景気が悪いのに公務員は給料アップ!?」イギリスでわき上がる不公平感へのブーイング

2009/03/09 05:15

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イギリス行政機関イメージ景気が後退し民間企業の間で減給や残業停止、自宅待機、さらには解雇などの話が相次ぐようになると、相対的に注目を集めるのが公務員の立場。減給も無ければ(よほどのヘマや、年金問題で「やらかした」人たちのように、悪事を働かない限り)解雇される心配もほとんどない。【イギリスでも巣ごもり現象、ドミノ・ピザが大繁盛に】【不景気なイギリスで流行るもの、資産差し押さえとオークション】でお伝えしているように、ヨーロッパではもっとも景気の悪化が進んでいるといわれているイギリスでは、日本以上に公務員に対する羨望の目、あるいは非難の声が上がっているとの話が【Times Online】に掲載されていた。



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「民間企業の従業員が賃金据え置き、さらにはカットに直面し頭を抱えているのを横目に見ながら、公務員たちは賃金アップの浮世を楽しんでいる」。そんな言い回しで始まる元記事では、イギリス経済がインフレどころか(一層生活が苦しくなる)デフレーションに突入しそうな中で、CBI(イギリス産業連盟、Confederation of British Industry)の発表として、「ほとんどの企業が今年は賃金を据え置く」ことを紹介している。さらに何万人もの労働者が賃金の減給や労働時間の短縮(≒手取りの減少)の対象になりつつあるという。

CBIの総務議長であるDavid Frost氏は語る。「イギリス国内では賃金据え置きと時短しか選択肢がないという話をあちこちで聞いている。その一方、公務員たちがこのいずれも経験しないのは勘弁がならない。すでに年金制度では民間と公務員たちの間には格差があるというのに、賃金や労働時間においてまで格差があるのは許されざることだ」。

給与が漸次上がるイギリスの公務員イメージ具体的には国営医療サービス事業(NHS)、教師や警察には今年と来年は2-3%の賃上げが行われ、地方公務員は6%の賃上げ要求が行われている。この「(公務員の給与アップが民間や経済の現状とかい離しており)不公平だ」という指摘に対して財務省側の報道官は「(不公平だとは)思っていない」と回答したという。

賃金凍結はいまや産業全体に及んでいる。例えば航空会社のBritish Airwaysは従業員4万2000人すべての賃金据え置きについて労働組合と話し合いをはじめ、自動車メーカーのJaguar Land Roverも1年間の給与据え置きと週休3日制の導入について賛否を問う投票を行うとしている。その他大手の運送会社や製糖会社、資産運用会社など、老若男女、新入社員から重役まで、すべての領域で同様の動きが加速している。経済状況そのものが悪化していることもあり、「仕方ないか」という空気がまん延し、企業側が賃金の凍結やカットを持ち出すハードルも低くなったのも一因だ。イギリスの失業者数は2008年12月現在197万人に達しており、これは2009年には300万人にまで増加すると推定されている。

納税者をサポートするイギリスの納税者団体【The TaxPayers'Alliance】のキャンペーンディレクターは、今回指摘された「民間企業とかけ離れた状態にある、公務員の給与アップ」について、次のように語っている。

「民間企業の何百万人もの労働者が賃金据え置きやカット、さらには解雇にまで直面しているというのに、政府は公務員に対してこの3年間ずっと賃金を上げてきている。このような状況は単に不公平というだけでなく、無責任であり、国家財政を危うくするものに他ならない」。

と。

当サイトで何度と無く紹介しているイギリスの大衆紙DailyMail(MailOnline)同様、TIMES ONLINEも読者のコメントを受け付けるシステムを採用している。ざっと目を通してみると「公共サービスには無駄なものが多いから、さっさと民営化すべきだ」「この記事では公務員に与えられた様々な手当てについて触れていない。民間企業と比べれば諸手当も含めるとさらに格差が拡大するはずだ。労働時間は少なく休日は多く、手取りも多く、しかも年金は高く、雇用は保障されている」「公務員のほとんどは賃金アップに値するとは思えない」など、否定的な意見が多い。

もちろん多くの公務員たちは、その手取りに見合うだけの仕事をしているのだろう(そう信じたい)。しかしそれと同時に同じ島国の経済事情なだけに、どことなくシンパシーを感じるのは当方だけだろうか。



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