20%超えの地域も! アメリカの失業率現況を図で見てみる
2009/03/05 07:55
今やリセッション(景気後退)真っ盛り、さらには世界の金融危機の引き金をダース単位で引いているアメリカ。そのアメリカにおいて、経済の収縮に伴う雇用不安が加速化されているのはすでに各所で伝えられている通り。【NewYorkTimes】では先日、それがはっきりと分かる図が公開された。ここではその図をもとに、アメリカの雇用情勢についてチェックを入れることにする。
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アメリカにおける地域別失業率分布(2008年12月時点)
上のほうに見える「7.1%」という数字は2008年12月時点の全国平均失業率。下に見える「+2.3」は、前年同月比。つまり1年間で失業率が2.3ポイント悪化したことになる。
図そのものは色が濃いほど失業率も高いことを示している。色が濃いほど失業率も高くなる。また元図ではカーソルを合わせると、その地域(郡)の現在の失業率・前年比が表示される仕組み。このような図で見ると、西海岸一帯と五大湖周辺の工業地帯が特に失業率が高く、ついで人口密集地帯の東海岸、さらにはその内陸部でも失業率が高めなのが把握できる。
ランキングがないので確認が取れないが、チェックした限りではミシガン州のマキナック郡が一番失業率が高いようだ。その値は実に24.2%。前年比が+6.2なので昨年から雇用不安が続いていたと思われるが、それにしても高すぎる。
図では全体的な失業率分布の他に、「都市部限定」「住宅バブルだったところ限定(2000年当時から住宅価格が175%以上上昇した郡)」「都市部以外限定」「工業地帯(売上の25%以上が工業生産によるもの)」の区切りで失業率分布や、その属性に該当する郡の平均失業率を確認することができる(元マップ左側のメニュー「FILTER COUNTIES」から選択)。ちなみにそれぞれの区切りにおける平均失業率は
「都市部限定」……7.0%
「住宅バブルだったところ限定」……7.4%
「都市部以外限定」……7.6%
「工業地帯」……8.0%
であり、不動産価格の高騰が結果的にその地域の経済をすり減らした可能性を示唆すると共に、都心部よりも地方、そして工業そのものに深刻な雇用問題が発生していることを表している。なお、財政危機について何度かお伝えしたカリフォルニア州だが、都市部の郡が多いにもかかわらず、他地域と比べて失業率が高いことが確認できる。同州の経済が深刻なダメージを受けていることがあらためて確認できよう。
ちなみに日本の完全失業率は2009年1月において季節調整をした値で4.1%。ただし日本もアメリカも同じILO(国際労働機関)の完全失業率に関する基準(完全失業者は「仕事を持ってない」「今すぐに就業が可能「仕事を探していた」)を適用しているが、アメリカが「失業中だがバイトをして食いつないでいる」場合も失業者としてカウントするのに対し、日本ではカウントしない、日本では就職断念者(就職を一時的にあきらめた人)を計算に含めないなどの違いがある。
この違いについては機会があればあらためてお伝えすることにするが、ともあれ「アメリカの失業率は日本の2倍近い」と単純に比較することはできない、ということだけは頭に入れておく必要がある。その上で、アメリカの雇用・失業問題が特にどの地域、産業、地域文化に大きな影響を与えているかを見なければならないのだろう。
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