「今なら同じ価格でもう一台! (two for one)」アメリカでも流行中

2009/02/27 19:40

このエントリーをはてなブックマークに追加
T.G.I.Fridayの2つを1つ分の価格でクーポンイメージ通信販売やテレビ・ラジオのショッピング番組などでよく見かけるセールス方法の一つに「一つ買うともう一つ同じものがついてくる」というのがある。「二つも要らないから半額で一つだけ売ってよ」と思うのが人の常だが、売る側にも色々と事情がある。それに「要らない」と口では言うものの、一つ分の代金で二つ手に入るのは悪い話ではない(食品ならなおさら)。景気後退真っ盛りなアメリカでも、この商法が大いに流行っていることが【USA TODAY】で伝えられた。あちらの「二つ分を一つの価格で(two for one)」事情がかいま見れる面白い話なので、ここに紹介しておくことにする。



スポンサードリンク


元記事ではまず、「景気後退(で消費者の消費意欲が減退していること)が『two for one』のビジネススタイルを流行らせる原因なのだろう」と状況を説明した上で、そのメリットについて「1つの価格を一度下げてしまうと、なかなか(お客の反発を受けない)値上げは難しい。しかしセットにして販売し、1つあたりの単価を下げれば、将来値上げの際に消費者・販売者双方が苦しまなくて済む。『期間限定』のマジックキーワードを加えれば、相乗効果で財布のヒモを緩める効用を持つ」と解説している。なるほど、確かにその通り。

そして具体的にどのような事例で「two for one」が行われているかを例示している。

T.G.I.FridayのクーポンイメージT.G.I.Friday(日本にも展開しているレストラン)
 公式サイトで手に入るクーポンを持っている人に、2品の前菜を1品分の料金で提供している。各クーポンは日曜に期限が切れるので、「早く使わなくちゃ」とお客を急かす効果もある。
 同様にRuby Tuesdayというレストランでも公式サイトや新聞の折り込み広告にクーポンを挟み込んでいる。前菜を注文する人の半分はクーポンを使っているとのこと。

Men's Wearhouse(衣料品店)
 男性用のスーツうち399ドル以上の品物の多数で「two for one」を実施している。このようなセールスを行ったのは初めてだが、商品は素晴らしい勢いで売れるようになった(利益があがったか否かまでは言及は無い)。

Verizon Wireless(電話関連業)
 Verizon Wireless社はこれまでにも電話機で「two for one」をしてきたことはあったが、ブラックベリー(アメリカでは主流の小型携帯情報端末。日本の携帯電話の立ち位置に相当)に関しては初めて。ただし2年縛りが条件。「もう一つは家族のどなたかにどうぞ。あるいは小規模の事務所で使ってみては?」と提案している。

Russ Darrow Groupの宣伝イメージRuss Darrow Group(自動車販売業)
 ウィスコンシン州にあるRuss Darrow Group社の販売店では高級自動車かトラックを買った人に「1万ドルまでの中古車を自由に選んで手に入れる権利」が得られる。「ともかく新車をさばかなければならないんだ。そのためにはアグレッシブにいかないとね」とは同社のオーナーの弁。

Michael Crews(住宅業社)
 これは以前【当たりが出なくてももう一つ●●がもらえる時代】で紹介した話そのまま。一軒住宅を買うと、もう一軒住宅をゲットできるという話。メインの住宅には自分が住んで、もう一軒もらえるほうは親戚なり友人に貸すのはどうか、というお話。元記事は2008年6月の話だったが、その後日談が原文には載っていて、結局購入者はゼロ(!)だったものの、同社の名前は世間に知れ渡り、多数のサイトへのアクセスと問い合わせがあったという。

元記事でも指摘されているのだが、「two for one」はお得感をかき立てる一方で、「本当は要らないものまで買ってしまう可能性が(消費者側に)伴う」と警告している。前菜なら知人とレストランに行きまとめて注文することで割り勘分を減らすことは出来るものの、新車を買って中古車を手に入れたところで、手持ち無沙汰になるのが(多くの人にとって)オチとなるのが常。

後々のこと(再度の値上げ時のリスク)を考えると、「two for one」は確かに賢い販売方法。また、価格を半額にして消費量をそのまま抑えられるよりは、2倍の量を売り切った方が売り手側にも有利な話となる(それだけ在庫を減らして商品回転が上がる)。

例えばファストフードでポテトのLを頼むと、もう一つLがついてくる、というサービスをされても困るものだが(笑)、適切な「two for one」は冷え込み気味の消費を活性化する可能性を秘めている。確かにお得感は高く、魅力的だからだ。日本でも似たようなスタイルの販売が、(通信販売以外でも)今後増えてくるかもしれない。

……ちなみに上記のRuss Darrow Groupだが、今月限定で「もう1台」に加えて500ドルのキャッシュバックまで行うキャンペーンを実施しているようだ(上記動画からの写真)。それだけ自動車販売も大変なのだろう。


■関連記事:
【貯蓄を大いに盛り上げる6つのクーポンなコツ】
【アメリカで 大いに流行る クーポンは 紙ではなくて デジタル形式 】



スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|X(旧Twitter)|FacebookPage|Mail|RSS