地デジの切り替え「2011年7月から」知っている人は95.6%! けれども……
2009/02/27 07:45
マイボイスコムは2009年2月23日、ブロードバンドの利用に関する調査結果を発表した。それによると、地デジ(地上デジタルテレビジョン放送)への切り替えが2011年7月に行われることを知っている人は、調査母体の9割強に達しており、ほぼすべての人が切り替え時期を知っていることが判明した。一方、地デジの具体的要件については細かい部分になるほど認知度が低くなり、「地デジって大体こんなものだよね?」という非常に大ざっぱな事柄しか理解されていないことがうかがえる(【発表リリース】)。
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今調査は2009年2月1日から5日の間、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は15226人。男女比は46対54で、年齢階層比は30代37%、40代29%、50代以上18%など、やや中高齢にかたよった感がある。
今回の設問にもあるように、現時点では日本においては2011年7月24日までに、テレビ放送は現行のアナログ放送からデジタル放送に切り替わり、事実上地デジ対応の受信機でしかテレビ放送が閲覧できないようになる(最近では色々と特例も登場している)。それに伴い、「地デジ対応の機器・契約」へのセールスプロモーションが業界の旗振りのもと必至で行われている。しかし同様の切り替えを行っていたアメリカで完全切り替えが(対応テレビの普及が遅れているため)延期され、日本でも浸透率が計画通りの値には達しないなど、「アナログ機器からの切り替え」の遅さが問題視されている。
それでは肝心の「地デジ」に対する啓蒙・公知はどれほど進んでいるのだろうか。地デジに関する特徴について、どれだけの人が知っているのかを確認した結果が次の図。切り替え時期はさすがにほぼすべての人が認識していることが分かる。
地デジ(地上デジタルテレビジョン放送)に関する特徴で、あなたがご存知のものはどれですか
テレビの買い換え時期のこともあり、ほとんどの人が切り替え時期は知っている。しかし地デジのさまざまなメリットや問題点を見ると、選択肢として挙げられた中では「ハイビジョンで高品質な画質と音声」ですら7割に達せず、「データ放送で、最新のニュース情報・天気をいつでも見ることが出来る」が56.1%。それ以外の具体的項目はいずれも半数を割り込んでいる。
テレビ事業者をはじめとする関係者は、地デジを普及する・させるためにメリットを多種多様な手段でアピールしている。「そんなに良いことが多いのなら、早く切り替えた方がお得ね」とばかりに、メリットが多い方が早めの切り替えをうながせるかもしれないからだ。しかし実際には具体的要件となると知られていないことが多い。
これは「本当に啓蒙が不足している」という可能性が一つ。そしてもう一つは「今テレビを視聴している人は、地デジの特徴であるさまざまな『メリット・特徴』への興味関心そのものが無い(から知るよしも無い)」という可能性が考えられる。自分が興味の無いことに対しては自ら積極的に調べることは無いし、たとえ耳に入ったとしても「関心が無いから」記憶に残らず耳から耳へとすり抜けてしまう。これでは認知のされようが無い。この可能性は十分に考えられよう。
「テレビをなぜ観るのか」という設問が今調査には無く、推測でしか無いが、今テレビを(アナログ放送で)視聴している人の多くは「地デジならではの特徴はあっても無くても別に困らない」可能性がある。
テレビ番組表を確認して自分の好きな番組があればチャンネルを切り替えて楽しみ、あるいは暇な時間にただテレビをつけて放送している番組を無意識に観る。お気に入りのものがあれば録画してあとで堪能する。せいぜいそれくらいが関の山で、「番組と連動した情報を閲覧できる」「視聴者参加型番組へ参加できる」などの能動的・積極的な視聴は、あまり望まれていないのかもしれない(というより「テレビ視聴」というライフスタイルにそのようなものが組み込まれていないのだろう)。
地デジで用意されている新機能を使いこなせば、確かにテレビ視聴は多角的になり、楽しみも格段に増幅する。しかしそれが現在の視聴者の望むものかどうかは分からない。いつものラーメンライスを求めるお客に、「こちらの方が美味しいから」とばかりに中華料理のフルコースをテーブルに並べ立て、それでお客が満足するのかどうか。満足させたいのなら、どうすべきか。各方面で考える必要があるのかもしれない。
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