【転送】民放キー5局の営業利益推移

2009/01/30 12:00

このエントリーをはてなブックマークに追加
テレビイメージ先週発売された経済週刊誌のうち、『週刊ダイヤモンド』『週刊東洋経済』は非常に資料価値の高い内容を見せていた。前者は「新興市場の断末魔」、後者は「テレビ・新聞陥落」という特集タイトルを冠していることからも明らかなように、それぞれ「新興市場を中心とした株式市場の現状」「テレビと新聞業界の現状」を分析した記事が掲載されている。一部のコンビニでは品切れを見せるほど、売上も堅調だったようだ。今回はそのうち「週刊東洋経済」に掲載されていた記事をもとに、民放キー5局の営業利益の推移をグラフ化することにした。



スポンサードリンク


今グラフが元記事に掲載されていた理由は、テレビ局・新聞社の業績が急速に悪化していることをビジュアル的に認識させるためのもの。図では2002年度(2003年3月期)以降の積み上げ式棒グラフが載っていたのだが、キー局はすべて公開企業で財務諸表も容易に手に入るだろうし、せっかくだからもう少し過去にさかのぼって作ることに。

ところが各社とも、2002年-2003年程度までしか公式サイト上にはデータが用意されていない。そこで偶然手元にあった過去の『会社四季報』で、何とか1997年度(1998年3月期)までデータを補完。ただしテレビ東京は上場が2004年8月で、それ以前は営業利益を諸表上に記載していないので残念ながらその部分はパス。グラフ上も2002年3月期までのものしか反映できなかった。

また、経常利益や純利益ではなく、あえて営業利益を用いたのは、

・営業利益……本業の利益
・経常利益……毎年繰り返す業務の利益
・純利益……結局いくら儲かったかを示す値

であり、テレビ局の推移を示すには営業利益がもっとも的確かと判断したからだ(投資対象として云々する場合には、むしろ経常利益や純利益の方が重要視される)。この営業利益の積み上げ棒グラフを作ることで、各局の本業(テレビ事業など。ただしTBSのような特異体質の場合でも、不動産事業は「本業」扱いされているので営業利益に加算されている)の推移が分かるはずだ。

そして完成したのが次のグラフ。

民放キー5局の営業利益(億円、2009年3月期は直近予想値)
民放キー5局の営業利益(億円、2009年3月期は直近予想値)

前述したようにテレビ東京は2001年3月期以前は反映されていないことに注意して欲しい。また2009年3月期はまだ〆ていないので、直近における各社の業績予想データを基にしている。

「週刊東洋経済」のグラフでは2003年3月期(2002年度)以降でしかなかったので分かりにくかったが、ITバブル前後にかけて各キー局が大きく利益をかさ上げしていたのが一目瞭然に分かる。ただしそれも言葉通り「バブル」で2年間で終わり、2003年3月期以降は停滞期を続け、そして2008年3月期(2007年度)以降は景気の後退と共に、急速に営業利益を各社とも、そして当然テレビ局全体としても落としていくことになる。

テレビイメージこれを【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】で掲載した各種グラフと比較すると、2005年以降はスポット広告の単価漸減で主要収入の減りが懸念されたが、副業的な事業(TBSの不動産ビジネスなど。よく言えば多角的展開、悪く言えば本末転倒)や各種相乗効果で何とか本業利益を維持。しかし景気そのものの本格的な後退を受けて、「何とか」の部分がもろくも崩れ、急速に各社とも本業利益を落としている様子が把握できる。

営業利益がすべてを語るわけではないが、21世紀に入ってからのテレビ局の状況の一端が、これでつかみとれるはずだ。今後各社の決算が発表され、次期予想が出れば、このグラフも増補されることだろう。



「週刊東洋経済」該当号をお持ちの方ならご承知の通り、その直下には「全国紙(新聞)」の同様なグラフ(もっともこちらは経常利益だが)が掲載されている。当初はこれも対象時期を拡大する形で作成する予定だったが、各社とも(非上場ということもあり)決算データがほとんど公開されておらず、今回は断念した。帝国データバンクなどの有料情報をたどればあるいは可能かもしれないが、色々な意味でそこまでするほどの余裕は当方にはない(笑)。

ともあれ今回作ったグラフは、今後色々な場面で引用することになるはずだ。



スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS