【更新】【転送】「特設注意市場」と「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」「整理銘柄」
2008/02/09 12:00
先に【IHI(7013)、初の「特設注意市場銘柄」指定へ】でお伝えしたように【IHI(7013)】が2月9日付けで初の「特設注意市場銘柄」に指定された。今後IHIは東証一部ではなく、「特設注意市場」に上場しているということとなる。「初の」ということから分かるようにこの制度は昨年末に施行され、今回がはじめての適用となった。またこれに先立つ1月15日から、今までなじみ深かった「監理ポスト」「整理ポスト」という呼び名が廃され、「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」「整理銘柄」という呼び名が適用されている。良い機会なのでここで一度整理して説明することにしよう。
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●「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」「整理銘柄」とは
まず最初に「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」と「整理銘柄」。呼び名から大体推測ができるように、かつての「監理ポスト」は「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」に、「整理ポスト」は「整理銘柄」に該当する。これらは2007年11月時に改正された「上場制度総合整備プログラム対応及び組織体制の変更に伴う業務規程」の中で定められているのだが、それが今年の1月15日から施行された。施行時にはその時の「監理ポスト」銘柄が「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」に変更されたことも伝えられている([発表リリース])(整理銘柄は今のところ無し)。
さて、「監理ポスト」が「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」の二つに分けられたが、それぞれは別の意味がある。そもそも「監理銘柄」とは「上場が廃止されるかもしれないから投資家は気をつけてね」と注意をうながすための制度・名称。その「上場が廃止されるかも」の部分で、上場規程に抵触しているかもしれない部分の違いで「審査中」と「確認中」が区分される。
簡単にまとめると、
「審査中」……形式的要件以外に「その問題が重大であり上場廃止に該当するか」について東証側が審査をしなければいけない事例。例えば有価証券報告書の虚偽記載など。
となる。
一方「整理銘柄」はこれまでの「整理ポスト」と同じ。上場廃止が決定し、一か月後には上場廃止となる銘柄が指定される。この一か月の間に最後の換金機会が確保される。こちらはシンプル。
「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」「整理銘柄」
●「特設注意市場」とは
「特設注意市場」は「監理銘柄(審査中)」「監理銘柄(確認中)」「整理銘柄」と違い少々複雑。何しろ新規に作られた仕組みだからだ。詳細は【東証、「特設注意市場」正式に制度化】などで解説しているが、一言でまとめると「これまで『オール・オア・ナッシング』的な上場企業へのペナルティ(上場廃止か上場存続かのいずれかしか、という意味)に中間層の新規市場を差込み、柔軟性を持たせよう」というもの。学生に例えるなら「小言で終わりか退学処分しかなかったものを、停学処分(あるいは一か月間便所掃除)の制度も設けた」というところだろう。
「特設注意市場」は東証一部・二部・マザーズとは別個の市場。監理銘柄(審査中)に指定された企業が、「上場廃止というほどではないが内部管理体制などに問題がある」と東証側に判断された場合に指定を受けることになる。要は
2.審査したが上場廃止までには至らなかった
3.内部管理体制などに改善を求める必要が高い
この3点がすべて合致した場合の「行き先」なわけである。
「特設注意市場」は通常の市場と比べて何か差異があるわけではない。ただし当然のことながら投資家からは敬遠されるし、日経225や投資ファンドの組み入れからは除外されるなど、間接的に不利な点はおき得るだろう※。
そして指定された企業は年に一度「内部管理体制確認書」を東証に提出することになる。この確認書を東証側が審査し、「もう普通の市場に戻しても問題なし」と判断すれば「特設注意市場」指定が解除され、東証一部・二部・マザーズなどかつての市場に戻れることになる。
一方「内部管理体制確認書」のチェックをしてもまだ問題があると判断された場合は、もう一年「特設注意市場」のお世話になる。ただし三回目、つまり3年間「特設注意市場」に居座っても状況の改善が見られない場合、その時点で「上場廃止」となる(整理銘柄への移行は無いようなので注意が必要)。三回のチェックでダメな場合は上場廃止、という仕組みから当方(不破)は「スリーアウト制」と呼んでいる。
「特設注意市場」
今回、IHIが初の「特設注意市場」指定を受けたわけだが、この指定によって市場がどのような反応を示すかはまったくの未知数。火曜以降の市場動向が非常に気になるところではある。
原則的に一度指定を受けたら最低でも一年間は解除されないという、「上場廃止よりはマシかもしれないが、いばらの道に等しい道のり」をこれからIHIは味わうことになる。果たしてIHIの経営陣がどこまで改善を図れるか、市場はどのような反応を示すのか、これから注意深く見守る必要があるだろう。
※追記
IHIについては引き続き日経平均株価・日経株価指数300・日経500種平均株価に継続採用されると日経新聞社などは発表している(【発表ページ】)。
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