2026年4月度外食産業売上プラス8.0%…53か月連続の前年比プラス
2026/05/25 15:00
日本フードサービス協会は2026年5月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2026年4月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス8.0%を示した。下旬にかけて大型連休に合わせた各種キャンペーンが奏功し、さらに天候の安定もけん引した。ここ数か月キャンペーン攻勢が目にとまるが、節約志向による客数の伸び悩み懸念を解消するための施策のようだ。結果として売上は伸びた(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。スポンサードリンク
今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が219、店舗数は3万7288店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数は増加している。
全業態すべてを合わせた2026年4月度売上状況は、前年同月比で108.0%となり、8.0%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で53か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらず、土曜日も変わらずで、売上の観点では影響なし。気象環境では雨天日は東京は多く大阪も多い、平均気温は東京・大阪ともに高い。客足への影響判断は差し引きゼロというところか。
新型コロナウイルス流行に関しての5類移行やインバウンドの回復傾向などの動きから人の流れは増加し、これらが外食需要の高まりとともに売上増につながっている。今回月では月の上中旬は客数の伸び悩みがあったものの、春休みや大型連休に合わせた各種キャンペーンの実施、さらに全国的な天候の安定化と気温の上昇が幸いし、結果として客数は全体では前年同月比でプラス5.3%を示した。一方で客単価はプラス2.5%となり、結果として総合売上はプラス8.0%に。報告書では「物価高による節約志向で客数の伸び悩みが懸念される中で、FFなどの低価格業態の好調が続き、期間限定商品の投入や各種キャンペーン、CMの強化などで健闘」との表記が確認できる。
業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で63か月連続のプラス(プラス9.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、ファストフード全体をけん引するかのような好調さを示している。今回月では「春休みに合わせたお得なメニューによる集客増、新商品の投入などが奏功」と説明されている。
なおマクドナルド単体の2026年4月における営業成績はプラス5.0%(売上、既存店、前年同月比)を示している。客数はプラス1.3%、客単価はプラス3.7%。
牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス17.8%、客単価はプラス3.1%となり、売上はプラス21.5%。麺類は客数プラス4.7%、客単価はプラス3.9%となり、売上はプラス8.7%。和風は「新メニューや人気メニューの好調に加え前年の異物混入事故の反動増」との説明がある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がマイナス0.4%。「一部ではデリバリー価格キャンペーンで集客増がみられたが、全体的には客数減」との説明が。
ファミリーレストラン部門は客数ではプラス3.1%、客単価はプラス3.3%、売上はプラス6.5%。「洋風」では「大型連休に合わせた人気キャラクターとのコラボキャンペーンや、引き続く低価格業態の好調」との説明がある。
パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス3.3%、居酒屋の売上はプラス3.0%。部門全体では売上はプラス3.1%を示した。「飲酒業態は、歓送迎会需要が一服し、宴会の予約状況は各社まちまちだが、低価格ランチの導入や、ピーク時間帯の前に団体予約を受け入れるなど集客に工夫するところもあり」とある。
ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス4.1%、客単価はプラス1.7%で売上はプラス5.8%を示した。「中東情勢が先行き不透明の中、法人宴会が低調」「和食の食べ放題業態が堅調」「インバウンド需要は中国以外の国・地域からの訪日客でカバーできたところ、逆に落ち込んだところと、まちまちであったが、国内客の増加もある」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2026年4月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2026年4月)
客単価上昇も押し上げ。
現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。
新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続していた。しかし業界側では2024年7月発表分で「2019年同月比につきましては、新型コロナの5類移行から満1年が経過したため、2024年5月度を以て掲載を終了いたしました」とコロナ禍前との比較値を非公開とし、それが今回月も継続している。少なくとも数字の上では、状況は改善しているようだ。解説コメントにもそれを裏付ける文言が踊る。
次回月の2026年5月分では、今回月に続き行動制限などは無く、平均気温は全国的にやや高め。降水量は東北南部と沖縄で多く、それ以外では少なめ。特に東北北部や北九州、四国西部で多く降っている。客足の動向はいくぶんの苦戦が予想される。他方、原材料価格の高騰などは継続中であり、また人員数不足も深刻化しており、ビジネスの上では大変な状態が続くに違いない。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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