中東情勢で景況感悪化…2026年4月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き上昇

2026/05/13 14:00

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内閣府は2026年5月13日付で2026年4月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは前回月比で下落となる40.8を示し、基準値の50.0を下回る状態は継続することとなった。先行き判断DIは前回月比で上昇して39.4となったが、基準値の50.0を割り込む状態は継続している。結果として、現状下落・先行き上昇の傾向となり、基調判断は「景気は、中東情勢によるマインド面の下押しを中心に、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。先行きについては、中東情勢による不透明感がみられる」と示された。ちなみに2016年10月分からは季節調整値による動向精査が発表内容のメインとなり、それに併せて過去の一定期間までさかのぼる形で季節調整値も併せ掲載されている。今回取り上げる各DIは原則として季節調整値である(【令和8年4月調査(令和8年5月13日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状は下落、先行きは上昇


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2026年4月分の調査結果をまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前回月比マイナス1.4ポイントの40.8。
 →原数値では「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加、「よくなっている」「ややよくなっている」「変わらない」が減少。原数値DIは41.6。
 →詳細項目は全項目が下落。基準値の50.0を超えている詳細項目は無し。

・先行き判断DIは前回月比でプラス0.7ポイントの39.4。
 →原数値では「よくなる」「悪くなる」が増加、「ややよくなる」「変わらない」「やや悪くなる」が減少。原数値DIは39.0。
 →詳細項目では「サービス関連」「住宅関連」「非製造業」が下落。基準値の50.0を超えている詳細項目は無し。

冒頭で触れた通り、2016年10月分から各DI値は季節調整値を原則用いた上での解釈が行われている。発表値もさかのぼれるものについてはすべて季節調整値に差し替え、グラフなどを作成している(毎月公開値が微妙に変化するため、基本的に毎回入力し直している)。

↑ 景気の現状判断DI(全体)
↑ 景気の現状判断DI(全体)

↑ 景気の先行き判断DI(全体)
↑ 景気の先行き判断DI(全体)

現状判断DIは昨今では海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化を受け、基準値の50.0以下を示して低迷中だった。2020年10月では新型コロナウイルスの流行による落ち込みから持ち直しを続け、ついに基準値を超える値を示したものの、再流行の影響を受けて11月では再び失速し基準値割れし、以降2021年1月までは下落を継続していた。直近月となる2026年4月では、2026年2月28日に始まったアメリカ合衆国・イスラエルによる対イラン攻撃と、その後のイランによる報復攻撃の前兆的な緊張と、実際の攻撃、さらにホルムズ海峡海峡閉鎖問題を受け、原油や関連商品の価格が急騰、物資そのものの不足の懸念もあわせ、景況感の足を大きく引っ張った。結果として前月比ではマイナスの結果となった。

先行き判断DIは海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化から、昨今では急速に下落していたが、2019年10月以降は消費税率引き上げ後の景況感の悪化からの立ち直りが早期に生じるとの思惑を持つ人の多さにより、前回月比でプラスを示していた。もっとも12月は前回月比でわずかながらもマイナスとなり、早くも失速。2020年2月以降は新型コロナウイルスの影響拡大懸念で大きく下落し、4月を底に5月では大きく持ち直したものの、6月では新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念から再び下落、7月以降は持ち直しを見せて10月では基準値までもう少しのところまで戻していた。ところが現状判断DI同様に11月は大きく下落。

直近の2026年4月では現状判断同様に中東情勢の悪化への懸念が足を引っ張る形ではあるが、この悪影響の終えんを期待してか、前月比でプラスを示している。

現状判断DI・先行き判断DIの実情


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。繰り返しになるが、季節調整値であることに注意。

↑ 景気の現状判断DI(〜2026年4月)
↑ 景気の現状判断DI(〜2026年4月)

今回月では中東情勢の悪化で、直接輸送コストの大幅増加はもちろんだが、原油や関連品の調達が困難になるのとの懸念もあり、全項目で前月比マイナスを示している。今回月で基準値を超えている現状判断DIの詳細項目は無し。

続いて先行き判断DI。

↑ 景気の先行き判断DI(〜2026年4月)
↑ 景気の先行き判断DI(〜2026年4月)

今回月で基準値を超えている先行き判断DIの詳細項目は無し。現状判断同様、中東情勢で生じる影響への懸念がすべてを押しつぶしている感はある。ただし中東情勢の沈静化への期待もあり、一部詳細項目で上げているものもある。「飲食関連」のように、前月の大幅な減少からの反動と思われるものもあるが。

どこもかしこも中東情勢


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での総括的な内容、そして地域ごとに細分化した内容を公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「全国」に関して、現状と先行きの家計動向に関する事例を抽出し、その内容についてチェックを入れる。

■現状
・新たな省エネ基準が開始されることを背景として、特にエアコン需要が高まっており、家電の販売数量、売上をけん引している(家電量販店)。
・客単価は微増しているが、購入点数は微減となっている。購入金額を意識しながら調整する動きがみられる(コンビニ)。
・終息が見えないウクライナ情勢や中東情勢など原油や食料品の高騰で世界経済の根幹が不安定で、先行きが見通せない状況であり、消費行動により慎重さがみられる(百貨店)。
・物価高騰に加え、中東情勢の影響もあり、ますます販売価格は上昇する傾向にある。購入が必須の顧客を除き、商談はかなり慎重になっており、販売は更に鈍化し、マンション在庫が増えている(住宅販売会社)。

■先行き
・夏の行楽シーズンや夏休み、祭り需要に向けた先行予約は好調である(都市型ホテル)。
・物価高は更に進むと考えられ、仕入先からも値上げを示唆されている。これから先も値上げを回避できそうになく、客の節約傾向は更に進むとみられる(一般レストラン)。
・国内客については、ガソリン価格の高騰や物価上昇の影響による、レジャーマインドの低下が懸念される。インバウンドでは、燃油サーチャージの上昇や不安定な国際情勢による影響を危惧している(その他レジャー施設[飲食・物販系滞在型施設])。
・中東情勢の問題などで、住宅を建てること自体が難しくなっていることから、買い控えが広がる(その他住宅[展示場])。

中東情勢による原油価格の高騰や、関連品の不足懸念について、プラスと判断できる業態はなく、これも全体としての景況感の悪化に拍車をかけているようだ。一方で、情勢終息への希望的観測や、夏のイベント需要への期待が、数字を底上げしている。

企業動向では景気のよい話と悪い話の両方が出ている。

■現状
・新年度に入ってからの工事の受注状況は、官民共に好調であり、既に計画を上回る工事量を確保できている。雪解けが急速に進んだことも追い風となっており、例年よりも早い段階で、本格的な工事が始まっている(建設業)。
・中東情勢の変化により、材料価格の高騰や資材の仕入れに対する不安が高まっている(繊維工業)。
■先行き
・官民問わず、DX投資の意欲は継続している様子が見受けられる(通信業)。
・中東情勢が不透明で、石油製品関連の価格上昇による、更なる物価上昇が懸念される。不安要素が多いなか、2-3か月先の景気はやや悪くなると予想される(窯業・土石製品製造業)。

DX投資とはデジタル関連投資を意味するが、要は業務のデジタル化への資金投入である。非常に景気のよい企業の話があれば、支出の増加や資材調達への不安を持つ企業も多い。

雇用関連では現状を再認識できる結果が出ている。

■現状
・県内中小企業では新卒採用が厳しくなってきていたが、建築、建設業界および周辺業界、化学関連業界は、中東情勢の影響に伴う建材や原材料の仕入価格の高騰による先行きの不透明感から業績が悪化しており、更に新卒・中途とも採用を控えつつある(求人情報誌)。

■先行き
・中東情勢次第であるが、長期化すれば、特に製造業において減産などが発生し、求人数にもマイナスの影響が出そうである(人材派遣会社)。

やはり中東情勢による業績の悪化で採用を絞る企業が多々見られる。


多分に外部的要因に左右されるところが大きい昨今の景気動向だが、国内ではそれらの要因を抑え込むだけの景況感を回復させ、お金と商品の回転を上げるためのエネルギーとなる、消費性向を加速をつけるような材料が望まれる。「景気」とは周辺状況の雰囲気・気分と読み解くこともでき、多分に一般消費者の心境に左右される。

世界各国が経済面で深く結びついている以上、海外での事象が日本にも小さからぬ火の粉として降りかかることになる。ポジティブな時には静かに伝え、ネガティブな時には盛り盛りで報じる昨今の報道姿勢を見るに「過剰な不安を持つな」と諭しても無理がある。むしろ内需の動きを後押しする形で、海外からのマイナス要因を打ち消すほどの、国内におけるプラス材料が望まれる。

リーマンショックや東日本大震災の時以上に景況感の足を引っ張る形となった新型コロナウイルスの流行だが、感染症法上における5類感染症への移行によって、世間一般では沈静化に向かっているとの認識が強い。しかし現状では感染者数は沈静化と認識できるほどの減り方はしておらず、むしろ増加の傾向にあると表現してもよいのが実情。後遺症のリスクも含め、感染しないように十分な注意をしなければいけない状態に変わりはない。すでに世の中は「そうなってしまっている」、それにもかかわらず、その現実を認めたくない人が多すぎるのが実情ともいえる。

ともあれ、景況感の悪化を押しとどめ、改善へと向かわせる間接的な対応を、関係各方面に望みたいものである。



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2026年3月景気ウォッチャー調査 https://garbagenews.net/archives/2184492.html 現状下落・先行き下落。中東情勢の悪化で一気に景況感悪化

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