天候要因や物価高の影響あるも持ち直しの動き…2026年1月景気ウォッチャー調査は現状下落・先行き上昇

2026/02/09 15:00

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内閣府は2026年2月9日付で2026年1月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは前回月比で下落となる47.6を示し、基準値の50.0を下回る状態は継続することとなった。先行き判断DIは前回月比で上昇して50.1となり、基準値の50.0を上回る状態は維持された。結果として、現状下落・先行き上昇の傾向となり、基調判断は「景気は、天候要因の影響がみられるが、持ち直している。先行きについては、価格上昇の影響などを懸念しつつも、持ち直しが続くとみられる」と示された。ちなみに2016年10月分からは季節調整値による動向精査が発表内容のメインとなり、それに併せて過去の一定期間までさかのぼる形で季節調整値も併せ掲載されている。今回取り上げる各DIは原則として季節調整値である(【令和8年1月調査(令和8年2月9日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状は下落、先行きは上昇


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2026年1月分の調査結果をまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前回月比マイナス0.1ポイントの47.6。
 →原数値では「変わらない」「やや悪くなっている」「悪くなっている」が増加、「よくなっている」「ややよくなっている」が減少。原数値DIは45.4。
 →詳細項目は「小売関連」「飲食関連」「製造業」「非製造業」の項目が上昇。基準値の50.0を超えている詳細項目は「非製造業」。

・先行き判断DIは前回月比でプラス0.6ポイントの50.1。
 →原数値では「よくなる」「ややよくなる」「変わらない」が増加、「やや悪くなる」が減少、「悪くなる」が変わらず。原数値DIは50.6。
 →詳細項目では「住宅関連」「雇用関連」が下落。基準値の50.0を超えている詳細項目は「飲食関連」「サービス関連」「製造業」「非製造業」。

冒頭で触れた通り、2016年10月分から各DI値は季節調整値を原則用いた上での解釈が行われている。発表値もさかのぼれるものについてはすべて季節調整値に差し替え、グラフなどを作成している(毎月公開値が微妙に変化するため、基本的に毎回入力し直している)。

↑ 景気の現状判断DI(全体)
↑ 景気の現状判断DI(全体)

↑ 景気の先行き判断DI(全体)
↑ 景気の先行き判断DI(全体)

現状判断DIは昨今では海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化を受け、基準値の50.0以下を示して低迷中だった。2020年10月では新型コロナウイルスの流行による落ち込みから持ち直しを続け、ついに基準値を超える値を示したものの、再流行の影響を受けて11月では再び失速し基準値割れし、以降2021年1月までは下落を継続していた。直近月となる2026年1月ではコスト増大の重圧や人手不足の深刻化、消費者の購入マインドの低下などが影響し、結果として前月比ではマイナスの結果となった。

先行き判断DIは海外情勢や消費税率引き上げによる景況感の悪化から、昨今では急速に下落していたが、2019年10月以降は消費税率引き上げ後の景況感の悪化からの立ち直りが早期に生じるとの思惑を持つ人の多さにより、前回月比でプラスを示していた。もっとも12月は前回月比でわずかながらもマイナスとなり、早くも失速。2020年2月以降は新型コロナウイルスの影響拡大懸念で大きく下落し、4月を底に5月では大きく持ち直したものの、6月では新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念から再び下落、7月以降は持ち直しを見せて10月では基準値までもう少しのところまで戻していた。ところが現状判断DI同様に11月は大きく下落。

直近の2026年1月では物価高の継続や人不足への懸念はあるが、観光需要の拡大や設備投資への期待などがあり、前月比では上昇した。

現状判断DI・先行き判断DIの実情


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。繰り返しになるが、季節調整値であることに注意。

↑ 景気の現状判断DI(〜2026年1月)
↑ 景気の現状判断DI(〜2026年1月)

昨今では天候不順の影響や金利上昇を受けて、詳細項目において「サービス関連」「住宅関連」「雇用関連」が前月比マイナスを示している。今回月で基準値を超えている現状判断DIの詳細項目は「非製造業」のみ。

続いて先行き判断DI。

↑ 景気の先行き判断DI(〜2025年12月)
↑ 景気の先行き判断DI(〜2025年12月)

今回月で基準値を超えている先行き判断DIの詳細項目は「飲食関連」「サービス関連」「製造業」「非製造業」。物価高の影響はポジティブ・ネガティブ双方確認でき、他方ガソリン価格の低下は多方面で好意的にとらえられている。また、金利上昇による企業の資金繰りや住宅ローン返済への悪影響や、中国からのインバウンド減に頭を抱える声もある。詳細項目では「住宅関連」「雇用関連」以外で前月比プラスを示している。

物価高のプラスとマイナス、それぞれの影響と


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での総括的な内容、そして地域ごとに細分化した内容を公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「全国」に関して、現状と先行きの家計動向に関する事例を抽出し、その内容についてチェックを入れる。

■現状
・12月中旬以降、免税売上の落ち込みがみられたが、1月中旬からは、ラグジュアリー関連の値上げ前の駆け込み需要がみられた。前年比では、国内の富裕層の売上が2けた増と、免税売上以上の増加率となっている(百貨店)。
・来客数は前年を超え、値上げにより客単価も上がっているため、売上が伸びている(スーパー)。
・建築単価の高止まりが続くなか、住宅ローン金利が上昇傾向に転じていることで、消費者の購買マインドは低下している。住宅業界を取り巻く環境は、厳しい状況が続いている(住宅販売会社)。
・年末は天候が安定していたため、来園者数も堅調に推移していたが、年始や3連休は寒波や降雪の影響を受けて客足が鈍く、来園者数が前年を下回っている(テーマパーク)。

■先行き
・春先にかけて観光需要が徐々に高まる時期であり、個人旅行や観光目的の利用増加が期待されるほか、企業や団体の動きも年度替わりに向けて活発になる可能性がある(都市型ホテル)。
・今後については、雪解けの時期を迎えることで、例年と同様に販売量が増えると期待している。ただし、雪など天候に左右される面は否めない(乗用車販売店)。
・旧正月における中国からのインバウンド減少が想定されるものの、引き続き他国からの流入が増えていることから、景気が下振れする要素は多くない(その他レジャー施設[総合])。
・物価高の影響もあり、衣料品を含め高額商品の売上が伸びない。今後も顧客の節約志向は続くと考えられ、インバウンドも減少傾向が続き化粧品等の売上増加が期待できない(百貨店)。

住宅ローン金利上昇で消費者が消費をひかえる動きが確認できる。住宅関連の数字が低くなる原因ではある。また1月は悪天候が続いたため、業績に悪影響が生じたところもある。物価高の影響は続いているが、プラスに働くところもあれば、マイナスとなるところもある。

企業動向では景気のよい話と悪い話の両方が出ている。

■現状
・半導体製造装置の金属加工品の受注が、若干増加している(一般機械器具製造業)。
・受注量は比較的安定している。問題は支出で、車両関係の費用は増加している。人件費も上げていかなければならないため悩ましい(輸送業)。

■先行き
・域内の設備投資が活発化し、大手自動車メーカーの工場進出に伴う付随業務が増加傾向にあり、景気はややよくなると予想する(金融業)。
・為替変動により、引き続き海外原材料、商品の仕入コストが高値で推移し、利益を圧迫すると想定される(食料品製造業)。

業績が上振れを示すところがあれば、コスト増大に頭を抱えているところもある。

雇用関連では現状を再認識できる結果が出ている。

■現状
・大手企業によるキャリア採用募集の増加が、中小企業の採用募集に影響を及ぼしており、中小企業における強い人手不足感の傾向は変わらない。また、高齢者や短時間勤務希望の求職者が多く、企業が求める人材が集まらない状況も変わらない(民間職業紹介機関)。

■先行き
・全体的に求人数は多いものの、採用数がなかなか増えない。採用側は結構厳しい目で見ている(民間職業紹介機関)。

人手不足は相変わらず深刻。大手企業の人材確保の手が、本来なら中小企業に行くであろう人材にまで伸びているため、中小企業が割を食らっている話が出ている。そこまで人材不足は深刻化しているようだ。また、雇用する側とされる側におけるミスマッチへの言及も目立つ。



多分に外部的要因に左右されるところが大きい昨今の景気動向だが、国内ではそれらの要因を抑え込むだけの景況感を回復させ、お金と商品の回転を上げるためのエネルギーとなる、消費性向を加速をつけるような材料が望まれる。「景気」とは周辺状況の雰囲気・気分と読み解くこともでき、多分に一般消費者の心境に左右される。

世界各国が経済面で深く結びついている以上、海外での事象が日本にも小さからぬ火の粉として降りかかることになる。ポジティブな時には静かに伝え、ネガティブな時には盛り盛りで報じる昨今の報道姿勢を見るに「過剰な不安を持つな」と諭しても無理がある。むしろ内需の動きを後押しする形で、海外からのマイナス要因を打ち消すほどの、国内におけるプラス材料が望まれる。

リーマンショックや東日本大震災の時以上に景況感の足を引っ張る形となった新型コロナウイルスの流行だが、感染症法上における5類感染症への移行によって、世間一般では沈静化に向かっているとの認識が強い。しかし現状では感染者数は沈静化と認識できるほどの減り方はしておらず、むしろ増加の傾向にあると表現してもよいのが実情。後遺症のリスクも含め、感染しないように十分な注意をしなければいけない状態に変わりはない。すでに世の中は「そうなってしまっている」、それにもかかわらず、その現実を認めたくない人が多すぎるのが実情ともいえる。

さらにロシアによるウクライナへの侵略戦争は日本が直接手を出して状況を改善できるたぐいのものではない。食料品や電気料金をはじめとした物価上昇の大きな要因となっていることもあり、景況感に与える悪影響は大きなものとなっている。

景況感の悪化を押しとどめ、改善へと向かわせる間接的な対応を、関係各方面に望みたいものである。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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