2025年12月度外食産業売上プラス6.0%…49か月連続の前年比プラス
2026/01/26 15:00
日本フードサービス協会は2026年1月26日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2025年12月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス6.0%を示した。年末の休みが長くなったことで家族客などの外食需要が堅調となり、忘年会としての小グループ・個人の宴会が好調な動きを見せ、特に飲酒業態の客数を押し上げた。インバウンドは中国からの団体客は減少したが、他国の客がそれをカバーする形で全体としてはおおむね堅調。客単価も底上げされ、全体としての売上は伸びた(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。
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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が217、店舗数は3万6637店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。
全業態すべてを合わせた2025年12月度売上状況は、前年同月比で106.0%となり、6.0%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で49か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日少なく、土曜日は変わらず、売上の観点ではマイナス。気象環境では雨天日は東京も大阪も多く、平均気温は東京・大阪ともに高い。客足への影響判断は微妙なところ。なお2024年12月は最終土曜日が28日だったが、2025年は27日のため、曜日区切りで年末の締め日を勘案する場合、2025年は1日早く締め日が来る措置をとるところが多く、結果として年末の休みが長いケースが多くなった。
新型コロナウイルス流行に関しての5類移行やインバウンドの回復傾向などの動きから人の流れは増加し、これらが外食需要の高まりとともに売上増につながっている。他方、物価高騰の影響から客足が引っぱられる業態が生じている。結果として客数は全体では前年同月比でプラス2.4%を示した。一方で客単価はプラス3.5%となり、結果として総合売上はプラス6.0%に。
業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で57か月連続のプラス(プラス5.8%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、ファストフード全体をけん引するかのような好調さを示している。今回月では「期間限定商品やクリスマス前後のチキンなどが好調」と説明されている。
なおマクドナルド単体の2025年12月における営業成績はプラス3.4%(売上、既存店、前年同月比)を示している。客数はプラス2.3%、客単価はプラス1.1%。
牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス3.6%、客単価はプラス4.5%となり、売上はプラス8.2%。麺類は客数プラス1.9%、客単価はプラス3.4%となり、売上はプラス5.3%。和風は「年末を中心にロードサイド店で家族客が増え、客単価の上昇とあいまって」との説明がある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス1.0%。「年末の休みを中心に回転寿司が家族客などで賑わった一方、持ち帰り米飯は客数の低迷が続き」との説明が。
ファミリーレストラン部門は客数ではプラス1.6%、客単価はプラス4.1%、売上はプラス5.8%。「洋風」では「前年のお得なキャンペーンの反動で客数が落ちたところもあったが、低価格業態の集客好調が続き」との説明がある。
パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス5.1%、居酒屋の売上はプラス6.8%。部門全体では売上はプラス6.3%を示した。「飲酒業態は、月前半に伸び悩んだが、後半に回復。特に多くの企業の仕事納めとなった26日を中心に集客が好調」「忘年会は法人などの大型宴会が少なくなり、個人や小グループでの宴会が定着する中で、年末の休みには個人客を中心に郊外や繁華街でも集客好調」とある。
ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス5.4%、客単価はプラス2.2%で売上はプラス7.6%を示した。「中国からの団体客の減少により、京都や大阪などの観光地ではマイナスの影響がみられたものの、他地域からのインバウンドは引き続き好調」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2025年12月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2025年12月)
忘年会は小グループや個人。
2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比でプラスを示している。
ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。
ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとはうって代わり、低迷感が否めない状態となった。中食に多分に客を奪われている感はあった。もっともこの数年でその苦境からは脱しているようにも見受けられる。
現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。
新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続していた。しかし業界側では2024年7月発表分で「2019年同月比につきましては、新型コロナの5類移行から満1年が経過したため、2024年5月度を以て掲載を終了いたしました」とコロナ禍前との比較値を非公開とし、それが今回月も継続している。少なくとも数字の上では、状況は改善しているようだ。解説コメントにもそれを裏付ける文言が踊る。一方で、今回月の解説にある通り、忘年会などの企業単位での外食需要は、大規模・大人数のものから、小グループや個人でのものにシフトする動きが見られるのも興味深い。
次回月の2026年1月分では、今回月に続き行動制限などは無く、平均気温は北海道西部と東北、関東北部、中部地方で低く、それ以外で高め。降水量は近畿以北の日本海側で多く、それ以外で少ない。客足は全体的には、ある程度活発化するかもしれない。他方、原材料価格の高騰などは継続中であり、また人員数不足も深刻化しており、ビジネスの上では大変な状態が続くに違いない。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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