2025年2月度外食産業売上プラス6.0%…39か月連続の前年比プラス
2025/03/25 14:00

日本フードサービス協会は2025年3月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2025年2月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス6.0%を示した。前年がうるう年のため比較すると元々営業日が1日少なかったものの、販促キャンペーンやインバウンド効果、客単価の上昇、好天候などさまざまなプラス要因がけん引する形となり、外食需要は強いものとなった。(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。
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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が221、店舗数は3万6095店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は変わらず、店舗数は減少している。
全業態すべてを合わせた2025年2月度売上状況は、前年同月比で106.0%となり、6.0%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で39か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらず・土曜日も変わらずで、売上の観点ではプラマイゼロ。ただし月あたりの日数が前年はうるう年のため、それとの比較で今年は1日少なくなるため、大きなマイナス。気象環境では雨天日は東京・大阪ともに少なく、平均気温は東京は・大阪ともに低め、客足への影響判断はほぼプラスマイナスゼロと判断できる。
新型コロナウイルス流行に関しての5類移行やインバウンドの回復傾向などの動きから人の流れは増加し、これらが外食需要の高まりとともに売上増につながっている。今回月でも訪日外客需要は旺盛なままで、これも客足をけん引した。また、各社の販促キャンペーンの活性化や、商品価格の引き上げによる客単価の上昇が売上の観点ではプラスに働いている(客数へはマイナスだが)。
結果として客数は全体では前年同月比でプラス1.1%を示した。一方で客単価はプラス4.9%となり、結果として総合売上はプラス6.0%に。
業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で48か月連続のプラス(プラス5.9%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、ファストフード全体をけん引するかのような好調さを示している。今回月では「ランチメニューの提供時間の延長やテレビ露出」と説明されている。
なおマクドナルド単体の2025年2月における営業成績はプラス0.8%(売上、既存店、前年同月比)を示している。客数はプラス0.6%、客単価はプラス0.2%。
牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス1.0%、客単価はプラス10.3%となり、売上はプラス11.4%。麺類は客数プラス0.6%、客単価はプラス7.8%となり、売上はプラス8.4%。麺類は「比較的低い客単価が強み」との説明がある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がマイナス1.9%。
ファミリーレストラン部門は客数ではプラス2.1%、客単価はプラス4.3%、売上はプラス6.5%。「営業日数減も、コストパフォーマンスを重視したモーニングメニューの導入など各種キャンペーンの展開により」との説明がある。
パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス1.4%、居酒屋の売上はプラス3.4%。部門全体では売上はプラス2.7%を示した。「営業日数は減ったが、インバウンド需要のほか、単価が低めの商品が健闘」とある。
ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス5.2%、客単価はプラス1.1%で売上はプラス6.3%を示した。「上旬の「春節」などでインバウンド需要が好調なところが多く」「インバウンドはウインタースポーツや温泉など雪のある地方に分散したのか、都心部では売上がやや振るわなかった店舗もある」との説明がある。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2025年2月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2025年2月)
営業日減だが
価格改定や
雨天日少
訪日外客需要も強し。
2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比でプラスを示している。
ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。
ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとはうって代わり、低迷感が否めない状態となった。中食に多分に客を奪われている感はあった。もっともこの数年でその苦境からは脱しているようにも見受けられる。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続していた。しかし業界側では2024年7月発表分で「2019年同月比につきましては、新型コロナの5類移行から満1年が経過したため、2024年5月度を以て掲載を終了いたしました」とコロナ禍前との比較値を非公開とし、それが今回月も継続している。少なくとも数字の上では、状況は改善しているようだ。解説コメントにもそれを裏付ける文言が踊る。
次回月の20253月分では、今回月に続き行動制限などは無く、平均気温はほぼ全国的に高めで、特に東日本で高い。降水量は東日本で多く、西日本で少ない。特に九州・四国地方で少なめ。客足はある程度伸びることだろう。他方、原材料価格の高騰などは継続中であり、また人員数不足も深刻化しており、ビジネスの上では大変な状態が続くに違いない。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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