賃貸住宅の入居者が退去した後のトラブル実情
2023/12/07 02:00

引っ越しなどの理由で入居者が賃貸住宅を後にする際に、色々なトラブルが生じることがある。もっともよく見聞きするのは、原状回復費用に関するもの。国土交通省からは【「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について】が提示され、インターネット上にもその情報が広まるに連れ、退去者側の意識が高まり、トラブルが具体的に生じる前に解決に至ったとの話も耳にするようになった。貸し手側の立場では、現状ではどのような状況なのだろうか。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が毎年同協会公式サイトにて発表している【賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)】を基に、賃貸住宅管理会社における入居者退去後のトラブルの変化の実情を確認する。
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各種調査要項などに関しては先行する記事【新築・既存ともに物件増加、特に既存物件が大幅増加…賃貸住宅会社の物件の増減実情(2023年発表分)(最新)】にて記載済み。そちらで確認してほしい。
次に示すのは、賃貸住宅管理会社における入居者退去後のトラブルの変化を答えてもらった結果。主なトラブルに関して、前年度と比べて増えたか減ったか変わらないかを答えてもらっている。

↑ 賃貸住宅管理会社における入居者退去後のトラブルの変化(全国、前年度比)(2022年度)
原状回復費用に関しては一番よく知られているトラブルということもあり、前年度より増えているとの意見の方が多い。それ以外の、残置物、敷金、解約・違約金については、いずれも減少したとする意見の方が多くなっている。
これを地域別に見たのが次のグラフ。

↑ 賃貸住宅管理会社における入居者退去後のトラブルの変化(首都圏、前年度比)(2022年度)

↑ 賃貸住宅管理会社における入居者退去後のトラブルの変化(関西圏、前年度比)(2022年度)

↑ 賃貸住宅管理会社における入居者退去後のトラブルの変化(首都圏・関西圏以外、前年度比)(2022年度)
原状回復のみ増加の方が多く、それ以外は減少の方が多いとのパターンはおおよそどこでも変わらないが、唯一関西圏では原状回復費用でも減少の方が多いとの結果が出ている。また原状回復費用以外でも、関西圏では増加の値の少なさが目にとまる。特に敷金では増加の値がゼロとなっている。
これについて短観では「全体として退去後トラブルは減少したが、特に関西圏における減少は各項目とも顕著である。2021年6月施行の賃貸住宅管理業法により管理会社の意識が高まったことに加え、大阪版原状回復ガイドラインの策定など各自治体の独自の取り組みなども貸主及び管理会社の意識向上に寄与している可能性がある」と説明している。大阪版原状回復ガイドラインは大阪府の公式サイトで確認することができ(【賃貸住宅の原状回復トラブルを防止するために】)、関西圏におけるトラブル減少の顕著さの理由を知ることができよう。
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