行楽需要が好調、気温低下に連れてホット系アイテムが伸びる…2024年11月度のコンビニ売上高は既存店が1.6%のプラス、12か月連続
2024/12/20 14:00


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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。
主要項目における前年同月比は次の通りとなる。
全店ベース……+1.9%
既存店ベース…+1.6%
●店舗数(前年同月比)
−0.1%
●来店客数:既存店は2か月連続のプラス、全店も2か月連続のプラス
全店ベース……+1.6%
既存店ベース…+1.2%
●平均客単価(税別):既存店は4か月連続のプラス、全店も4か月連続のプラス
全店ベース……+0.3%(713.1円)
既存店ベース…+0.5%(718.9円)
●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……+1.1%
加工食品……+3.7%
非食品………+2.7%
サービス……−11.9%
合計…………+1.6%
※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)
今回月は新型コロナウイルス感染症の流行による外出忌避や在宅勤務傾向は以前と比べれば弱まってはいるものの継続している。他方、下旬にかけてようやく平年並みの気温低下となり、中華まんやホットドリンクのような、冬に伸びるホット系アイテムが好調に推移した。また、紅葉狩りなどの行楽需要も好調で、来店客数の増加とともに、観光客が求めるような商品、具体的にはおにぎりや菓子、ソフトドリンクなどがよく売れ、結果として売上高はプラスとなった。
商品構成別ではサービスがマイナスで、日配食品、加工食品、非食品はプラス。加工食品のプラス幅が3.7%ポイントで最大。
ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値にとどまっているのが実情かもしれない。どのみち新型コロナウイルスの流行で外出機会(他人との不用意な接触リスク)を控えるようにと諭されていることから、雑誌の見定めをするためだけにコンビニに足を運ぶ人も以前と比べれば減っているだろう。感染リスクを考慮すると立ち読みも敬遠されるに違いない(あるいは感染リスクを大義名分として立ち読み自身が禁止されている可能性もある)。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。他方、年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額(全体編)(最新)】)。
たばこは機会があるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮小する方向性に変化はない。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っており、たばこ全体としての今後の動向の見通しはつきにくい。
一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうにないが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまずなかった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じていた。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。
一方で一部報道で伝えられている通り、出版取次大手の日販は2025年2月でコンビニ(ローソンとファミリーマート)への雑誌や書籍の配送を終了するとし、これに伴い同じく出版取次大手のトーハンが引き継ぐことが決まっている。その引き継ぎ内容に関して、ローソンとファミリーマートの計3万店舗のうち2万店舗のみの引継ぎとなるとの話が伝えられている。すでにコンビニの売上における出版物の売上比率は1%を割っているが、それでも少なからぬ影響が今後出てくるに違いない。
各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。
一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。
今回月は行楽需要の活性化で来店客数が増え、平年並みの寒さが到来したことでホット系アイテムが伸びたことが、売上の上でプラスに働いた。来月発表分の2024年12月では、気温は全国的に低く、降水量は九州・四国全般と、それ以外の太平洋側で少なくなっている。今回月同様、ホット系アイテムが伸び、来店客数も堅調さを見せるだろう。実際には、どのような結果となるだろうか。
↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである
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