食料品は農産物の相場高や店頭価格上昇で堅調、衣料品は高気温で季節物が動かず…2024年10月度チェーンストア売上高、前年同月比マイナス1.3%

2024/11/22 14:00

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チェーンストア(スーパーマーケットやデパートなど)の業界団体である【日本チェーンストア協会】は2024年11月22日付で同協会公式サイトにおいて、チェーンストアの2024年10月度分販売統計速報(月報)を発表した。その内容によると2024年10月は食料品においては節約志向による買い控え傾向は継続しているが、農産物の相場高や店頭価格の上昇が後押しして堅調、衣料品は高気温を受けて季節物が動かず軟調、住関品の動きも鈍かった。結果として、売上総額の前年同月比はマイナス1.3%(店舗調整後)を示す形となった(【同協会内発表リリース一覧ページ】)。

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今データは協会加入の47社・9296店舗に対して行われた調査結果によるもの。店舗数は前回月比で5店舗減少、前年同月比で1517店舗減少している。売場面積は前年同月比92.7%となり、7.3%の減少。売場面積あたりの売上額は前年同月比でマイナス3.0%を示す形となった。

各主要分野別では前年同月比でそれぞれ次のような値を示している。数字はすべて店舗調整後(いわゆる「既存店」)。店舗の増減が売上に反映され、各店舗の実態を確認する際に状況が困難にならないよう、昨年同月の時点では存在していない店舗の分を除いた値で算出されている。

■総販売額……1兆235億7493万円(前年同月比98.7%、−1.3%)

・食料品部門……構成比:71.1%(前年同月比102.4%、+2.4%)

・衣料品部門……構成比:5.2%(前年同月比89.4%、−10.6%)

・住関品部門……構成比:19.8%(前年同月比99.0%、−1.0%)

・サービス部門…構成比:0.2%(前年同月比99.9%、−0.1%)

・その他…………構成比:3.7%(前年同月比65.8%、−34.2%)

※販売金額には消費税額は含まず

食料品は価格上昇で堅調。
衣料品も季節物が動く。
農産品はじゃがいも、キャベツ、トマト、きゅうり、レタス、ミニトマト、ブロッコリー、かぼちゃ、カット野菜、カットサラダ、カットフルーツなどの動きはよかったが、白菜、大根、長ねぎ、人参、ほうれん草、小松菜、きのこ類などの動きは鈍かった。果物では、梨、りんご、ぶどう、バナナ、キウィフルーツなどは好調だったが、みかん、柿などの動きは鈍い。無駄を省く、手間をかけずに使えるカット系のセットは昨今のトレンドではあるが、個別商品の相場が高い時にはとりわけ人気が出る。そして相場安で農産品が不調な時にもカット野菜やカットサラダ、カットフルーツはよく動いており、野菜の相場動向を問わずに需要が高まっている感はある。最近は色々な野菜の組み合せをすることで種類も多様になり、例えば鍋物や野菜炒めなど、対象料理向けに用意されたものもあるほど。

畜産物は豚肉と鶏肉が好調で、牛肉が軟調。鶏卵、加工肉は軟調。

水産品は、刺身盛合わせ、まぐろ、かつお、あじ、いわし、サーモン、さんま、うなぎ、塩鮭などの動きはよかったが、たこ、いか、さば、生秋鮭、 冷凍かに・えび、貝類、魚卵などの動きはいまいち。惣菜では温惣菜は、フライ、天ぷら、オードブル、唐揚げ、焼鳥、焼物が好調だったが、中華はいまいち。要冷惣菜は、和・洋惣菜ともに好調。弁当、寿司も好調。その他食品は、米、飲料、水、牛乳、アイスクリーム、ヨーグルト、冷凍野菜、パスタ、切餅、パン類、乾麺、レトルト、油、シリアル、納豆、海苔、ビスケット、米菓、ビール、ノンアルコール飲料などがよかったが、カレー・シチュー、カップスープ、カップ・袋麺、チルド麺、インスタントコーヒー、鍋つゆ、豆腐、水物、練物、佃煮、和・洋生菓子、チョコレート、プリン・ゼリー、みりん、焼酎などの動きは鈍い。

衣料品では紳士ものはセットアップ、秋コート、半袖ドレスシャツ、カジュアルシャツ、ポロシャツ、ボトム、カットソー、婦人ものはビジネスパンツ、ワンピース、シャツ・ブラウスなどが堅調。

住関品では日用雑貨品は携帯型ゲーム機・ソフト、マグボトル、クーラーボックス、キッチン用品関連、トイレ・バス用品、防災関連商品、スリッパ、タオル、たばこなどの動きは好調だが、ランドセル、カードゲーム、子供用おむつ、ペーパー類、ラップ、行楽用品、雑誌、文具などの動きは鈍い。医薬・化粧品は、スキンケア、UVケア、制汗シート・パウダー、フェイスケア、オーラルケア、衣料用洗剤、台所用洗剤、ドリンク剤、芳香剤、殺虫剤などの動きがよく、カウンセリング化粧品、マスク、総合感冒薬、体温計、胃腸薬、皮膚薬、目薬、除菌ジェル・シート、ボディケア、ヘアケア、住居用洗剤、入浴剤、防虫剤は軟調。

「その他」項目は前回月から続く形で軟調さを見せ、マイナス34.2%。サービスはマイナス0.1%とマイナスに。サービスは旅行関係やチケット販売などが他の業種(多分にインターネット経由やコンビニ販売だろう)に奪われていたのだろう。

次回月となる2024年11月は10月同様に新型コロナウイルスの流行という特殊要因があるが、行動規制のたぐいはなく、外出機会を後押ししている。気温は全国的に高く、特に北海道と東北、関東以外でかなり高い。降水量は東北以外で多い。秋物・冬物の動きは鈍いものとなるだろう。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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