2023年では6.7%…カラーテレビの買い替えをした世帯の割合
2023/06/20 02:00
耐久消費財とは長持ちをする消費財、具体的には乗用車やテレビ、パソコン、冷蔵庫などを指す。長持ちをするとはいえ一生同じものを使い続けることは滅多になく、引越しの機会に併せて、故障で修理するよりは新規購入した方がよいと判断し、あるいは新機種への乗り換えが望ましいとの理由で、買い替えをすることになる。今回は内閣府が2023年4月10日に発表した【消費動向調査】の内容を基に、世間一般において、どれほどの世帯が耐久消費財の一つであるカラーテレビの買い替えをしたのかを確認していく。
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「消費動向調査」の詳細、実測値で3月分から抽出している理由、「買い替え」の定義に関しては、先行記事の【携帯電話の買い替え年数】にて解説済み。詳細はそちらを参考のこと。その「消費動向調査」では2014年分から、耐久消費財の買い替えをした世帯の具体数を開示している。これと各属性の調査対象母集団世帯数から、その年において対象となる耐久消費財の買い替えを行った世帯比率が算出できる。
ここで注意しておくべきことは、次以降の値が「該当年に買い替えをした経験がある世帯」を意味するのであり、買い替え個数などは考慮されていない点。例えば1世帯で複数台の携帯電話の買い替えをした場合でも(親子で一度に、兄弟一緒になどの事例は十分ありうる)、世帯上では1世帯の買い替えと見なされる。また、耐久消費財の調達には買い替え以外に新規購入の事例もあるため、各値がそのまま対象の耐久消費財の需要の増減と連動するとは限らない(もちろん多分に類似連動性は考えられる)。今件は各対象耐久消費財の買い替え動向を推し量る指標として検証する次第である。
まずはカラーテレビの買い替えをした世帯比率。例えば2023年は6.7%とあるので、全世帯の6.7%がカラーテレビを買い替えしたことになる。台数は問わず、新規購入は別勘定。
↑ カラーテレビ買い替え世帯率(総世帯、世帯単位)
2014年は消費税率引上げ前の駆け込み需要の恩恵を受けてか、買い替え率はいくぶん高め。それ以降は毎年買い替え世帯数比率は漸減していた。地デジ導入前後の値を知りたいところだが、残念ながら「消費動向調査」の2013年以前のデータでは該当値は存在しない。2018年以降は2021年まで少しずつ増加する動きを見せているのが注目に値する。2021年の前年比での増え方がやや大きめなのは、新型コロナウイルス流行による巣ごもり現象が影響しているのだろうか。
これを買い替え理由別に細分化すると次の通りとなる。
↑ カラーテレビ買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、買い替え理由別)
2014年における税率アップ前の駆け込み需要の場合は多分に「その他」が該当する事になるが、それを理由に買い替えをした世帯は「全世帯のうち」2.2%。おおよそ45世帯に1世帯が該当する。やはりテレビは故障による買い替えが多く、直近の2023年では全世帯のうち4.4%が故障を理由に買い替えている。2021年で「上位品目」の値の増え方がやや強い勢いなのは、新型コロナウイルス流行による在宅時間の増加によりテレビ視聴時間も延び、ならばよい機会でもあるから高性能の機種に買い替えようとの思惑が生じたせいかもしれない。また特別定額給付金の支給も後押しをしたのだろう。
最後は直近となる2023年における世帯(主)・主要属性別の買い替え率。例えば29歳以下の値は3.5%とあるので、29歳以下の世帯主(単身世帯も含む)の世帯では、3.5%の人が過去1年間にテレビを買い替えたことになる。
↑ カラーテレビ買い替え世帯率(総世帯、世帯単位、属性別)(2023年)
属性別では男性世帯主の方が買い替え率は高い。また世帯年収別では法則的な動きは確認できないが、あえていえば高世帯年収の方が高め。世帯主の年齢階層別では低年齢層ほど低い値となっている。
カラーテレビの買い替え年数に関する記事でも解説しているが、テレビの高性能化に伴い、利用年数も伸びており、テレビの買い替え需要(新規購入も合わせた単純な需要を意味しない)も逓減してくる可能性がある。実データの限りではむしろ2017年を底に買い替え世帯率は増加する傾向だったが、2021年をピークとして減少の動きに転じているように見える。来年以降も逐次データを収集し、その経年推移から、カラーテレビの需要の一側面を推し量りたいものだ。
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